実験内容

全学教育科目「化学実験」で実施する実験の概要です。

詳細は教科書を読んで勉強しましょう。

第1実験室

無機イオンの反応

金属塩の沈殿生成や錯イオンの生成といった無機陽イオンの水溶液中の反応を、溶解度積や平衡定数に基づいて理解し、 イオンを系統的に分離・確認する方法を講義と実験を通じて学びます。この実験では、金属陽イオンを含む試料溶液に適切な試薬を加えることで、 目的とする金属陽イオンを沈殿として単離します。 次に、得られた沈殿を再溶解させ、この金属陽イオンに特有の反応を行い、その沈殿や着色を観察することで目的のイオンの存在を確認します。

→テキスト: 2章2.1 p16-28

→動画: 手順

未知試料の分析

無機イオンの反応で学んだ知識を活かして、複数の金属陽イオンを含んだ溶液から、適切な操作によってそれぞれのイオンを分離・確認する実験を行う。 実験を行うサンプル溶液は各自異なるので、正解の陽イオンの組み合わせが見つけられるように頑張りましょう。

→テキスト:2章2.2 p29-31

第2実験室

アセチルサリチル酸の合成

有機合成実験では、アセチルサリチル酸の合成を行います。 アセチルサリチル酸は、鎮痛剤や解熱剤として世界中で広く用いられている合成医薬品「アスピリン」の主成分として有名な化合物です。 合成したアセチルサリチル酸は、再結晶法により精製します。 また、精製した物質の性質を調べるために、物質固有の性質の一つである融点の測定も行います。

→テキスト: 3章3.1 p34-36

動画: 手順, 再結晶

鉄錯体の合成

鉄錯体合成実験では、鉄イオンの配位化合物の一種である、トリオキサラト鉄(III)酸カリウムの合成実験を行います。 合成したトリオキサラト鉄(III)酸カリウムは再結晶により精製します。また、トリオキサラト鉄(III)錯体は光の照射によって分解することが知られており、 精製した化合物の水溶液に強い光を当てることで、光分解反応についても調べます。

→テキスト: 3章3.2 p37-38

動画: 手順

蛍光色素の合成

蛍光色素合成実験では、ノーベル化学賞受賞対象となった鈴木宮浦クロスカップリング反応によって、 フェニルチオフェン誘導体の合成を行います。実験では、薄層クロマトグラフィー(TLC)による反応の進行度を追跡します。 また、フェニルチオフェン誘導体の溶液に紫外線を照射し、その蛍光を観察します。ブラックライトで様々な色に発光する様子がとてもきれいな実験です。

→テキスト: 3章3.3 p39-49

動画: 手順, 蛍光ソルバトクロミズム

滴定実験

酸・塩基滴定実験では、強酸である塩酸の水溶液と弱酸である酢酸の水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、滴下量に対するpHの変化を観察します。 観察されたpHの変化を解析することで、酸の濃度や解離、指示薬の変色域について調べます。

→テキスト: 4章4.1 (4.1.1) p52-56

動画: 手順

第3実験室

光源のスペクトル

光源のスペクトルの実験では、水素やナトリウムの放電管や身近にある様々な光源の光をプリズムで分光し、そのスペクトルを観察します。光源の発光原理によって、それぞれ特徴のあるスペクトルを観察できます。量子の世界の一端を感じることができる実験です。

→テキスト: 5章5.1 p64-68

動画: 手順

比色分析

 比色分析の実験では、溶液の濃度と光の吸収の度合いについて調べます。溶液中に含まれる色素分子の濃度と溶液の色には、レンベルト・ベールの法則と呼ばれる関係式が成り立っています。濃度の異なる溶液をいくつか正確な濃度で調製し、それらの吸光度を測ることで、その物質の濃度と色の濃さの関係を知ることが出来ます。この関係を求めることで、濃度が未知の試料溶液の吸光度から、その溶液の濃度を求めることが出来ます。

→テキスト: 5章5.2.1 p69-73

動画: 手順

分子の吸収スペクトル

 ブロモチモブルー(BTB)溶液のスペクトルを異なる6点のpHで測定し、その変化を観察します。変色域付近で連続的に色とスペクトルが変化していく様子が観察できます。また、吸光度とpHの関係からBTBの酸解離定数を求めます

→テキスト: 5章5.2.1 p73-76

動画: 手順

化学的振動反応

 周期的に溶液の色が変化するBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応という不思議な反応を観察します。この実験では、反応の活性化エネルギーを、ストップウォッチで測定します。エネルギーを時計で測るというと違和感があるかもしれませんが、色の変化の周期はこの反応の反応速度に関係しており、異なる温度で反応周期を記録しそのデータを解析することで、この反応の活性化エネルギーを求めることが出来ます。

→テキスト: 6章6.1 p78-81

動画: 手順