レポート

レポートの書き方についての説明です。

レポートを作成する前に一度読んでみましょう。

説明動画は50 MB程度あるので、wi-fi環境での視聴をお勧めします。

レポートの書き方について

 レポートは、皆さんが行った実験の詳細を報告するために作成します。つまり、レポートの目的は、テストのように問題の答えを書くことではなく、実験で何をして、何が起きて、そこから何が考えられるかを「他人に分かりやすく伝える」ことです。レポートには論理的で科学的に素晴らしい内容も必要ですが、その内容がきちんと読み手に伝わるように読みやすさや見やすさにも気を付けて作成してください。実際にレポートを添削するのは実験内容に詳しい教員やTA(ティーチングアシスタント)ですが、皆さんがおこなった実験を全く知らない人にも伝わるくらいの気持ちで作成しましょう。

 ここでは、レポートを書く時の注意点を、「書式について」と「内容について」の項目に分けて説明します。「書式について」ではレポートの見栄えについて、「内容について」では科学的なレポートの内容をどう書くかについて説明します。書き方の例「かき方」や、皆さんが陥りやすいイマイチなレポートの例「ダメレポ」も紹介していくので、レポートを書き始める前に一度目を通してみましょう。ここでの説明に加えて、実験室担当の教員から追加の指示がある場合はそちらの指示にも従ってレポートを作成してください。

 といっても、いきなり完璧なレポートを書くのは難しいと思います。ここで説明するレポートの書き方の注意点や、返却されたレポートのコメントなどを参考にして、毎回より良いレポートが作成できるように頑張りましょう。

 「レポートとは」にも書いたように、レポートでは内容と同じくらいに読みやすさも大切です。「書式について」では、読みやすいレポートを作成するためのテクニックを紹介します。この内容を参考に、各自工夫しながら読みやすいレポートを作成してください。

 レポートは、読み手に分かりやすく伝えるため、内容ごとにいくつかの項目に分けて記述していきます。事前に文章の構成を項目として大まかに決めておくと、まとまった文章になります。レポートによってその項目は様々ですが、理系基礎科目「化学実験」のレポートでは「目的」「実験操作」「結果」「考察」「結論」「参考文献」の6つの項目を設けて全てについて内容を記述してください。

 それぞれの項目にはそれぞれ異なる役割があります。役割の詳細は「内容について」で説明しますが、文章を読むときに異なる役割の項目が一目でわかるように区切られていると非常に見やすいレポートになります。文字のスタイルやサイズ、空白などをうまく使い、見やすいレポートを目指しましょう。

目的

 この実験では、○○を行うことで△△について調べることが目的である。


実験操作

 試験管に試薬Aを1 mL取り、そこへ水を加えて2 mLとした。試薬Bを5滴加え生じた沈殿を遠心分離によって沈降させ、デカンテーションで上澄みと分離した。


結果

 試薬Aに試薬Bを加えるとすぐに黄色いふわふわした沈殿が生成した。


考察

 ○○の結果について、△△という理由から□□ということが考えられる。また、××ということが知られており1)、■■ということが言える。。


結論

 ○○の実験から△△という結果が得られ、□□ということが分かった。


参考文献

 1)名大太朗 著 「化学の基礎」 教養出版社 P758-760


文字のスタイルやサイズ、インデントや改行(行の間隔)を調整し、どこに何の項目があるか一目でわかると読みやすいレポートになります。下のWord超入門も参考にしてください。

 文章だけで実験内容や結果を伝えるのは難しいです。より効果的に見やすいレポートを作成するためには、適切に図や表を使う必要があります。

 まず、図の書式についての説明です。図をレポートに貼り付けたら、必ず通し番号とタイトルを図の下に書きましょう。図とタイトルを見ればおおよその内容が分かるようにし、詳細は本文で図の番号を指定しながら説明します。このように、図や表は文章から独立してしまわないように注意しましょう。タイトルに簡単な説明があったとしても、本文中にも必ず「図1は○○を表しており、…ということが分かる。」というような図に関する記述が無ければいけません。

figure

図1 アセチルサリチル酸の分子構造

図には通し番号と図の説明を必ずつけましょう。

figure

  図2 テトラアンミン銅(II)溶液と硫酸銅溶液のスペクトル

グラフには全ての軸にタイトルを付け、単位も忘れずに書きましょう。

複数のデータを同じグラフに書くときは色や形状(線なら破線や点線など、マーカーなら○や△といった形)を変え、必要に応じて凡例も書きましょう。

次は表の書式の説明です。表にも必ず通し番号とタイトルを付けますが、図とは違い表の上に書きます。表の表記に記号を使うときは、必ず記号の説明を注釈に書きましょう。

Wordでの表の書き方は、下の「Word超入門」も参考にしてください。

table

 表には表番号とタイトルを付けましょう。単位も忘れず書き、意味のない記号を使わないように注意しましょう。

 例えば下の表のように、単位を書き、脚注に記号の意味を明記しましょう。

table

 物理量は数値と単位を掛け合わせたものです。無単位の物理量を除き、数値だけでは物理量の意味を成しません。物理量を表すときは必ず数値と単位をセットで表しましょう。また、物理量の表記に関する決まり事もあります。この決まり事は学問の分野によって少し変わるかもしれませんが、化学の分野においては国際純正・応用化学連合(IUPAC)の発行する、「Quantities, Units and Symbols in Physical Chemistry」1) という本に基本的な規則が書かれているので、ここではその規則に基づいて説明します。

 まず、物理量の「数値」に関して説明します。有効数字という言葉は聞いたことがありますか?数学の授業で、「1」と「1.00」の違いを感じたことはないかと思います。しかし、実験データとして、「1 mL」と書いた時と「1.00 mL」と書いた時では大きな違いがあります。実験データや実験データを使った計算結果は「測定精度」を加味した桁数で表し、このような精度を加味したを数字のことを「有効数字」と言います。もう少し詳しく言うと、実験データの数値で、精度が確実な桁の下の桁に不確定度のある数字を加えて表します。例えば、ホールピペットやビュレットでは最小目盛(確実な桁)の1/10まで(不確定度を含む桁)を読み取ります。また、測定データを用いた計算で測定結果よりも高い精度が出ることはないので、計算結果の有効数字にも気を付けましょう。

 メスピペットで水を1 mL量り取った。

秤量器具の精度はそれぞれ異なります。メス○○と付く器具は、精密に容量などを量るもので、その精度にも注意を払いましょう。

例えば、1 mLメスピペットには±0.01 mLの精度があるので、「1.00 mL量り取った。」と書きましょう。

 原料(分子量 100)20.0 gから生成物(分子量150)が10.0 g得られたので、その収率は33.333333… %であった。

計算結果が、もとのデータよりも高精度になることはありません。

有効数字が3桁の測定値からは有効数字3桁までの計算結果しか得られません。「33.3 %であった。」と書きましょう。33.333… % ≒ 33.3 %と書く必要もありません。

次に単位についてです。秤量した値などを記録する際は、上記の有効数字に気を付け、単位も必ず書きましょう。例えば、同じ数値でも単位が kg と g とでは大きな違いです。ここまで桁が違うと間違えることはないでしょうが、 ml と g と mmol は同じくらいの値となり、単位を書いていないと自分でも何の値か分からなくなってしまうかもしれません。実験ノートにメモする時から、単位も書く癖を付けましょう。

 アセチルサリチル酸 → 10  硫酸 → 1  無水酢酸 → 4

レポートの記述としてはもちろんダメですし、実験ノートのメモであっても10 g、1滴、4 mLと単位を付けましょう。

 物理量の数値と単位について説明ました。最後に、物理量を記述する時の書式や注意点について説明します。

 物理量を示すときに記号(C Ka等)を用います。このような記号を用いる時は、何の物理量を表しているかの説明を記述しましょう。また、物理量の記号と単位には次に示す書式のルールがあります。

 物理量の記号は、1文字の英字もしくはギリシア文字のアルファベットの大文字もしくは小文字の斜体で表します。下付き文字や上付き文字で条件や分類などを明示することもあります。下付き上付き文字は、物理量由来の文字であれば斜体で、そうでなければ立体で表します。

 単位は、リットル(L)や人名由来のもの(Hz等)を除いて小文字(g, m等)の立体で表します。

 このルールを守っていれば、計算式の中には物理量の記号と単位が入り乱れても混乱することはありません。

 塩化ナトリウム(式量58.4 g/mol) 1.14 gの物質量(nHCl)は、

equation

 である。

斜体と立体、有効数字と単位に気を付けて書きましょう。

単位どうしの計算も、つじつまが合っているかチェック。

 さて、物理量や数値・単位の書き方は分かりましたか?見やすく分かりやすい式が書けるよう練習してください。ただし、きれいな式が書けるようになってもそれだけで満足しないでください。

 レポートでは式だけで内容を記述することはあまりありません。文章を使って何の式で何を計算しているかを説明しながら式を書きましょう。また、数学の証明では様々な記号を用いて説明を進めますが、このような記号は数学以外の文章では一般的ではありません。例えば、数学の証明記述では結論の前に∴という記号を付け「よって」と読ませますが、化学のレポートでは言葉で「したがって」や「よって」と書きましょう。


1) E. R. Cohen et al., “Quantities, Units and Symbols in Physical Chemistry, Third Edition”, IUPAC & RSC Publishing, Cambridge (2008).

 参考文献の表記の書式には様々なものがあり、例えば学術誌(雑誌)に掲載される論文には参考文献の書式の指定があることがほとんどですが、その書式は出版社や学術誌によって異なります。ここでは、練習として書式の一例を紹介します。

 参考文献の引用は、文献の情報を用いた場所に1), 2), 4-6)のように通し番号を付け、本文の最後の参考文献の項目に文献情報のリストを記述します。

 文献情報のリストは、雑誌や図書、言語で書式が変わります。「化学実験」の授業では以下の例を参考にして参考文献の情報を書いてみましょう。

雑誌

 1) 著者1, 著者2, 雑誌名, 号数, ページ (出版年).

 2) Author 1, Author 2, Journal name, Volume, Pages (Year).


図書

 3) 著者1, 著者2, 『タイトル』, 出版社出版年ページ.

 4) Author 1, Author 2, “Title”, Publisher, City of publication (Year) Pages.


シリーズものの図書

 5) 編集者 編, 『タイトル版数, 出版社 (出版年)

 6) Editor, editor. “TitleEdition, Publisher, City of Publication (Year)

あくまで一例です。今後「化学実験」以外でレポートを書く際は、まず書式の指示がないかチェックしましょう。

 著者名は、日本語は氏名(名大太朗、化学次郎、)を、英語は姓以外のイニシャルと姓(T. Meidai, J. C. Kagaku,)を書きましょう。三名以上の著者がいる時は、「名大太朗ら,」や「T. Meidai, et al.,」と二人目以降を略すこともできます。

 英語の雑誌名は、略して記述されることが多いです。略し方は、例えば名古屋大学図書館の電子書籍でも閲覧できる「化学便覧(基礎編)」の付録 I 化学文献の略記法7)などを参考にしてみましょう。

7)日本化学会編 『化学便覧(基礎編)』 改訂5版 丸善(2004)

 レポートを書くときには言葉遣いにも気を付けましょう。間違いだらけの文章や話し言葉のような文章は好ましくありません。

 まず、言葉遣い以前の問題ですが、誤字脱字には注意しましょう。

 試験官に大漁の個体が精製した。

パソコンで作業すると同音異義語の変換ミスに気付きにくいです。

試験、大体、生成です。

生成と精製はどちらも化学のレポートで現れる語句です。他にも「溶ける」と「融ける」など、これらの意味の違いに自信がない人は確認しましょう。

同音ではありませんが、似た意味で用いているが正確には意味の違う言葉にも注意が必要です。例えば、「溶液」「液体」「溶媒」の違い説明できますか?

 COイオン溶液のPhを測定した。

略語や原子記号、単位等のアルファベットの大文字と小文字の区別を間違えると全く違う物になってしまうので注意しましょう。

CO(一酸化炭素)とCo(コバルト)、pH(水素イオン指数)とPh(フェニル基)、mg(ミリグラム)とMg(マグネシウム?メガグラム?)など

 文章を書くときにはその内容によって適切な時制を使います。周知の事実や解釈を記述する場合は現在形で記述し、自身で行った操作や得られた結果については過去形で記述します。

 また、レポートに適切な表現、不適切な表現もありますが、全てをここで紹介することはできませんのでほんの一例を紹介します。レポート作成などで参考文献を読んでいると自然にレポートや科学の文章として適切な言葉遣いが身につくと思います。

 測定結果から○○だと思いました。理由は□□かもしれないと感じました。

感想文のような印象を受けます。○○だと考えられる。□□の可能性がある。という表現の方がレポートには合っています。

 水を入れすぎちゃったので、うまくいかなかった。

友達に話す感じで書かないように。

例えば、「水を入れすぎてしまったので、濃度が薄くなり反応が進行しなかったと考えられる。」のように、サイエンティフィックに。

 いろいろ説明を書きましたが、「ピンとこないので、何かいい例を見てみたい!」という人も多いと思います。図書館でも閲覧できる「(学術)論文」は、新しい実験結果を読者に分かりやすいようにレポート形式で報告している出版物です。皆さんが入手できるレポート形式の文章としてとてもいい例なので、図書館探してみて読みやすいと思ったものの書式などを参考にしてみるのもいいでしょう。レポートの書き方は「化学実験」に限らず、今後の実習や研究室での報告書、卒業論文などにも役立つはずなので、この機会にしっかり練習しましょう。

 まずレポートの内容として一番大切なことは、事実を基に記述してあることです。もし実験が失敗してしまっても、レポートに「正しい実験結果」を書く必要はありません。実験の「失敗」は「間違い」ではありませんし、結果や考察に「正解」はありません。失敗してしまった「事実」を実験手順や結果として書き、どうして失敗したかを考察しましょう。例えば、自分の溶液の色が「赤」くなり、周りの友達の溶液の色が「青」であっても、レポートには自分の実験結果として「赤くなった」と書きましょう。大切なのは、そのあと理由をしっかり考えることです。実験が成功しても失敗しても、レポートでは実験結果や適切な資料のデータをもとに「自分の」実験について科学的・論理的に記述しましょう。

 また、レポートの内容はテストの解答ではないので、レポートを作成する時は自分の知識だけで内容を考える必要はありません。おおいに友達と相談したり調べ物をしたりして、自分の考えを広げてください。ただし、レポートを書く時は自分の文章で書きましょう。友達と考えを共有するのは推奨していますが、一部であっても文章を写してはいけません。

 ここからは、各項目の内容について少し具体的に説明します。

 目的には、実験内容を簡潔に説明する導入の役割があります。「~のために~をおこなう」や「~をおこない~を明らかにする」等のように実験の目的を書きましょう。

 この実験では、実験操作の基本を習得することを目的とする。

テキストに書いてある「~を身につける」や「~を学ぶ」といった目的は授業の目的であって、レポートに書く実験の目的ではないので注意しましょう。

 実験操作では、自身でおこなった実験の手順を説明します。実際におこなう操作は、テキストの手順と全く同じになるとは限りません。レポートには、テキストの操作ではなく実際におこなった(実験資料の)操作を文章で記述します。テキストの操作は、一般的な操作なので現在形で記述してありますが、「実験操作」の内容は、すでに自身でおこなった操作なので過去形の文章となり、自身で書いた実験ノートの内容に基づいていなければいけません。

 もし酸性でなければ、塩酸を1滴加えた。

テキストの「もし酸性でなければ、塩酸を1滴加える。」という記述を過去形にするだけではおかしな文章になってしまいます。

この場合「酸性ではなかったので、さらに塩酸を1滴加えた。」というような書き換えが必要です。

 結果には、実験で起きて観察したこと、測定したデータやそれをまとめたものなどを書きます。実験結果も、操作と同様に過去形の文章で記述し、自身の実験ノートの記録に基づいて居なければいけません。また、実験結果は、実験した人によってそれぞれ異なります。レポートの読者が皆さんの実験結果を思い浮かべることが出来るよう、過不足なく記述しましょう。何をしたらどうなったのかがここを読むだけで分かるように文章で記述すると読みやすいレポートになります。

 ①:黄色

色だけでは何が起きたか分かりません。例えば「〇〇と××を混ぜると黄色の沈殿が生成した」というように誰が読んでも分かる表現にしましょう。

 サリチル酸(原料)を量り取った結果○○gであった。

これは結果ではなく「○○ g のサリチル酸を量り取った。」という実験操作です。生成物の秤量値は、「生成物が ○○ g 得られた。」という実験結果でOKです。

 ここまでのレポートの内容で、実験で行ったことや起きたことという実験「事実」を説明してきました。次の考察では、それに対する皆さんの「考え」を記述していきます。自分の考えを記述する時は、科学的根拠に基づいて記述するように気を付け、感想や根拠のない考えを書かないように注意しましょう。

 下のダメレポのようにならないように、溶解度積や溶液の濃度といった科学的なデータ等を用いて説明しましょう。そのためのヒントとしてテキストの解説や課題の内容をよく理解し、その考え方を活用してください。また、書籍や文献を調べて、テキストには書かれていない考え方や他の実験のデータを用いて考察すると、より充実した内容になると思います。

 ○○についてよく分かりませんでした。

そんなことレポートで報告されても困ります。

分からないことはレポートを書く前に調べるか質問しましょう。

 収率の低下は、想定と違うことが起きたことが原因と考えられる。

小難しく言っていますが、「よく分かりませんでした」と言っていることは同じです。

何を想定していて、それとは違う何が起きたと考えられるのかを具体的に書きましょう。

 ○○の操作について、なぜ行うのか疑問に思った。

疑問に思ったら、ぜひ理由を考えてください。

疑問に思うことは考察への第一歩です。

 ○○について疑問に思ったので、調べてみたいです。

やる気は評価しますが、もう一歩踏み出して調べたことをレポートに書きましょう。

 茶色の気体が発生したが、おそらく有毒だと考えられる。

気持ちは分かりますが、イメージで考察を書かないように。

なぜそう考えたのか、根拠や理由を書きましょう。

 ○○の実験では、沈殿が生成すると推測した。

 得られた結果から、○○の金属イオンは含まれないと考えられる。

いろいろ考えた結果でしょうが、その考えに至った過程やなぜそう考えられるかの理由も記述しましょう。

読者にその過程を考えさせるのではなく、過程や理由も含めて自分の考えを書きましょう。

必要であれば数式や計算などの過程を示しつつ、科学的な根拠が書いてあれば完璧です。

 結論は、レポートの内容のまとめです。実験で達成されたこと、明らかになったことなどを書きましょう。

 うまくいって楽しかったです。

満足してもらえてうれしいですが、感想欄ではありません。

 レポートを作成する際、分からないことや気になったことを調べることで初めて知る事実もたくさんあると思います。実験のレポートは、テストとは違い様々な資料を調べながら作成することになります。この時、参考にする資料(参考文献)は、まずその情報が信頼できるものかどうかをしっかり見極めましょう。

参考文献

 1) Wikipedia 「化学」の記事より

2) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E5%AD%A6#:~:text=%E5%8C%96%E5%AD%A6%EF%BC%88%E3%81%8B%E3%81%8C%E3%81%8F%E3%80%81%E8%8B%B1%E8%AA%9E%3A,%E3%81%AE%E4%B8%80%E9%83%A8%E9%96%80%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

 3)「yahoo知恵袋」より

 4)「インターネット掲示板」より

参考文献は、考察など自分の考えの「科学的根拠」となる資料です。資料の情報の信頼性が非常に重要となるため、根拠として信頼できる資料を選びましょう。不特定多数の人が書き込んだ内容は信頼性が著しく低く、参考文献としては不適切であり引用すべきではありません。(決して嫌がらせで言っているわけではありません)

このように、Wikipedia 等の執筆者や情報の元が分からない記事や、URL でしか引用できないような記事はあまり好ましくありません。その理由として、情報元がはっきりしないことや、いつまでその情報があるか定かではなくレポートを読んだ人がその情報にたどり着けないこと等が挙げられます。もし、インターネットの記事で、その情報元(論文や書籍)が書かれている場合は、その論文や書籍を読んだうえで参考文献として引用すると良いでしょう。

 ここまでの内容を理解してもらえると、インターネットで参考文献を探すこと全てがダメというわけではないことが分かると思います。電子書籍のようにインターネット上で閲覧できる論文や出版物もあり、このような書籍の引用はもちろん OK です。このような書籍は、下の「参考文献を読もう」でも紹介しているので、積極的に探して読んでみましょう。

 

 レポートが完成したら提出する前に必ず一度は読み直して、誤字や脱字や分かりにくい表現はないかチェックしましょう。

 チェックが完了したら、表紙と実験ノートの電子データをそれぞれページの最初と最後につけて、1つのpdfファイルとして提出してください。ファイル名に指定がある場合は、指示に従ってファイル名を付けてください。Wordからpdf形式で保存する方法が分からない人は、下のword超入門を見てください。

 

構造式描画ソフト

 構造式をパソコンで書くためのソフトを紹介します。手書きでも化学式を書けますが、専用のソフトを使ってきれいな構造式を描いてみましょう。

 ここでは、個人利用の範囲で無料のChem SketchとMarvin Sketchという2つのソフトを紹介します。Marvin SketchはWindowsとMacの両方に対応していますが、Chem SketchはWindowsのみの対応なのでMacユーザーは注意してください。

 下のホームページのリンクからそれぞれダウンロード、インストールできます。ダウンロードにはメールアドレスなどの登録が必要です。ダウンロードとインストールは英語のホームページから行います。不安な人は、下のインストール手順のpdfを見ながらインストールしましょう。

参考文献を読もう

 レポートを作成するにあたって、教科書の情報だけでは不十分です。様々な書籍を読んで、知見を広めましょう。

 名古屋大学図書館には、化学関連の多くの書籍や論文があります。レポートで分からないこと、疑問に思ったこと、興味を持ったことについては、ぜひ図書館に行って調べてみましょう。


 名古屋大学図書館の書籍の一部は、電子書籍としてインターネット経由で自宅からも閲覧できます。名古屋大学図書館のホームページから、学内での閲覧は「電子書籍」のページを、学外からの閲覧は「学外からの電子リソース利用」にアクセスし、活用しましょう。化学実験室が特におすすめする電子書籍は、「理科年表プレミアム」「化学資料館」「Maruzen eBook Library」の3つです。


・「理科年表プレミアム」は、自然科学すべての分野を網羅したデータブックです。定数や物理量など様々なデータが検索できます。


・「化学書資料館」は、化学に関する書籍「化学便覧」、「実験化学講座」、「標準化学用語辞典」の内容を一括検索できます。分からない用語や調べたい内容があれば、検索にかけてみると様々な情報が得られます。


・「Maruzen eBook Library 」は、丸善の書籍を検索閲覧できます。「化学実験」や「有機化学」、「無機化学」、「蛍光」、「スペクトル」などの実験に関連するワードで検索すると、それに関する書籍を閲覧できます。