●本授業の目的およびねらい
本授業科目は,自然科学系分野の学問体系を認識するとともに,自主的判断能力を培うことが目的である。 この授業では量子化学の入門的内容を学ぶ。量子化学は現代化学においてどの分野でも必須の基礎概念である。また、量子化学の問題を解くことで、量子力学の基礎も身につける。この授業の目標は、物質の構造や性質について量子化学に基づいた化学的思考で理解できるようになることである。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
高校レベルの物理・数学の知識は必要である。
|
●授業内容
[01]序論 内容:この講義の概要および学ぶべきことの説明 [01〜06]原子の構造 内容:量子論がなぜ必要であるかを説明し、その基礎を解説する。また、原子構造に 関する実験事実について量子論を用いた解釈をおこなう。 [07〜11]化学結合 内容:分子を構成する原子がどのような結合様式によって結合するか解説し、結合を 理論的に解釈するための分子軌道法について説明する。 [12〜14]気体の性質 内容:気体の性質について現象論的な解釈を説明し、それが分子論的解釈とどう結び つくかを説明する。さらに実在気体の状態方程式から気体の性質を予測する。 [14〜15]凝集体の構造と性質 内容:固体や液体を構成する分子や原子の間に働く凝集力について解説する。また固 体の構造や電子状態について簡単な説明をおこなう。
|
●成績評価の方法
小テスト(10%)と期末試験(90%)で評価する。 履修取下げの際は届を提出する。提出がなく期末試験を欠席した場合には評価を「F」とする。
|
●教科書
「理工系学生のための化学基礎」 野村浩泰、川泉文男 共編(学術図書出版社)
|
●参考書
「量子論を楽しむ本」佐藤勝彦著 PHP文庫 「高校数学でわかるシュレディンガー方程式」竹内淳著 講談社ブルーバックス (上記2冊は読み物であるが量子論の考え方を理解すると授業も理解しやすくなる。)
|
●注意事項
各回の授業資料をNUCTにて公開するので、必ず授業前に読んで予習をすること。また、講義内容については受講後にノート等で自分なりに整理しておくこと。
|
●本授業に関する参照Webページ
|
●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
この講義では、諸君がこれまでに見たこともない新しい概念を数多く学ぶ。講義を理解す る上で必要なキーワードを以下に記す。
「数学」 多変数関数、偏微分、複素数、オイラーの式、極座標、多重積分、体積素片 「原子の構造」 原子スペクトル、黒体輻射、エネルギー量子、プランク定数、光子、光電効果、リュード ベリの式、量子化、ボーアの前期量子論、ボーア半径、基底状態、励起状態、量子数、主 量子数、方位量子数、磁気量子数、スピン量子数、パウリの排他原理、フントの規則、 ド・ブロイ波長、不確定性原理、波動関数、シュレディンガー方程式、確率密度、演算子 、オービタル、動径分布関数、スピン、電子配置、特性X線 「化学結合」 イオン化エネルギー、電子親和力、イオン結合、共有結合、配位結合、水素結合、分子軌 道法、LCAO-MO法、結合軌道、反結合軌道、混成軌道、分極、誘起双極子モーメン ト、永久双極子モーメント、電気陰性度 「気体の性質」 絶対温度、理想気体(完全気体)、アボガドロ定数、気体分子運動論、エネルギー等分配 法則、マクスウェルーボルツマンの速度分布則、確率密度分布、状態方程式(理想気体の 式)、実在気体、ファンデルワールス式、ビリアル状態方程式、臨界温度、臨界点 「凝集体の構造と性質」 ファンデルワールス力、単位格子、格子エネルギー
以上のように数多くの概念を学習する必要があるため、”予習”によって自分が理解しに くい部分を確認し、”復習”によって理解を深めるという態度が重要である。
|