●本授業の目的およびねらい
セミナーのテーマ:宗教と文化 我々を取り巻く様々な文化現象と宗教の関わりを眺めて、宗教の特徴について考えてみよう。取っ掛りはインド仏教であるが、仏教を越えて他の宗教をも視野に収めつつ、宗教の機能や人間・社会との関わりについて理解を深めることを目指す。人間にとって宗教が必要なものなのかどうかをも考えるきっかけとしたい。これまで宗教についてどのように捉えてきたのかという、宗教についての学問伝統を継承し、新しい人間像を形成する助けとしたい。
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●履修条件あるいは関連する科目等
西洋哲学・東洋哲学・文化人類学に関する科目を併せて履修することが望ましい。
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●授業内容
教科書(『聖なるもの俗なるもの』)の記述に従って宗教的な事象について考察を進めていく。テーマは(1)宗教行為と時間、(2)「聖なる」空間と時間、(3)「聖なるもの」と「俗なるもの」、(4)宗教における現状認識、(5)宗教と社会、(6)葬儀儀礼における時間、(7)死者の文化的意味、(8)龍樹の救済論、(9)タントリズムの構造である。各テーマについて参加者全員での自由討論を重視するが、場合によってはグループ討論もする。自由討議が困難であれば、レポーターあるいは教員との質問を通して理解を深めることが期待される。討議を通して、論理的に考えること、最適の言葉を選んで自身の考えを表現することなどの「技術」を磨く。学生諸君には、仏教に限らず様々な宗教を取り上げたり、身の回りに見られる宗教的行事の意味や機能について考えたりして、闊達な議論を繰り広げて貰いたい。
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●成績評価の方法
出席率と議論参加の積極性とレポート試験。
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●教科書
立川武蔵『聖なるもの俗なるもの』講談社選書メチエ、2006。 * この本は現在書店で入手できません。初回講義時に担当教員より販売しますので,受講者は代金1,500円をお釣りの無いよう準備して講義に出席して下さい。
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●参考書
特になし。
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●注意事項
特になし。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
普段は宗教について考える機会が限られていますが、私たちは意識せずに宗教的な振る舞いをしていることがあります。海外に出た時に、あるいは他の宗教と遭遇した時に、自身の振る舞いや身の回りの出来事が宗教的であることを意識させられるようになります。まずは、宗教をきっかけにして自身の心の特徴を理解することを目指しましょう。心を見つめ直すことは、「人間って何だろう。」って考える良い機会になると思います。担当教員の専門がインド哲学なので、インドの話をどしどしします。インド人の心の中には、神秘的な宗教の面と、論理学を築き上げた伝統を受け継ぐ面との、一見対立するような両面があります。この両面の共存も、私たち日本人には興味深い所だと思います。
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