●本授業の目的およびねらい
本授業は、学術的な英文に関する基礎的なリーディング能力とライティング能力の養成を目的とする。そのねらいは、研究拠点大学である名古屋大学の学生にふさわしい学術英語を使いこなす能力を身につけるところにある。論理的な英文のカギとなるエッセイの構造に着目し、目的に応じて必要な情報をいかに読みとるか、また逆に、自分の考えをその根拠とともにいかに説得力ある論理的な英文に組み立てるかを学ぶ。将来、専門の論文を英語で読んだり書いたりする時に、指針となる英文構成法の基礎、および実際に役立つ英語表現を多く習得する。
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●履修条件あるいは関連する科目等
特になし。
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●授業内容
本授業では、主として、文章の手本となる英文を読み、表現の習得はもちろん、論の展開の仕方を学習する。また、それを踏まえ、ライティングを実践する。次の点を銘記して授業に臨んで欲しい。 1. 「ライティングは建築である」。日本語の文章は、設計図の不明なものが多く、「何が言いたいのか分からない」文章になりがちである。英文という建築物を解体して、その構造やしくみを理解し、自分の意見を論理的に構築し提示する「エッセイライティング」に向けた文章構成技術の習得が目標。 2. 「ライティングは技能であり、学習が必要である」。ライティングは日常会話以上の深いレベルの伝達手段であり、自然に身につくものではない。また、言語だけでのコミュニケーションなので、誤解を生じないよう、使用する表現を吟味し、精密に論を組み立てる必要がある。ただし、書きながら意見が精緻化されるのも事実で、「書くことによって、思考を整理して深められる」。 3. 「日本語で明確に表現できなければ、英語で明確な文章を書くことはできない」。日本人にとり、日本語は、知の活動と、独自性の創出のための最も基本的な土台である。英文法や語法という知識が根であれば、日本語は大地で、その基盤の上に英語の花や果実が育つ。遠回りのようではあるが、母語である日本語の論理性を向上させたり、日本語と英語を対比してそれぞれの特徴を客観的に捉えることも、英語を学ぶ過程において大切である。
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●成績評価の方法
対面授業では、およそ次の割合で評価する。毎回の出席・授業の参加度(15%)課題(15%)小テスト・考査(20%)。授業全体の評価については、下記の注意事項を参照。
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●教科書
Skills for Better Reading(Revised Edition)構造で読む英文エッセイ(改訂版)Ishitani Yumiko, John Wallis, and Suzanne Embury. Nanundo 2008
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●参考書
英和、和英、英英辞典(毎回、持参すること)。
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●注意事項
対面授業に加え、課外学習として、英語(中級)用「ぎゅっとe」リーディングを課し、その消化率に基づく評価を授業全体の評価の20%とする。またTOEFLITP (Reading)およびCriterionの評価を30%とする。なお、5回以上欠席をした場合、「欠席」の評価がつく。履修取り下げ制度は採用しない。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
英語の学習には二面がある。一方で、「学習(study)」。文字媒体である「読む」「書く」と「文法」学習を通した、言語への「意識化」を重視する「学習」が、英語習得の効率化に重要である。他方で、「訓練(training)」。単なる「知識(knowledge)」ではなく、活用できる「技能(skill)」にするために音声活動を豊富に行い、文法知識を「自動化(automatization)」すると同時に、日本語の介在なく、英語だけでイメージが浮かび意味の理解できる「音声と意味の直接連想(direct association)」を可能にする必要がある。「何年学んでも英語が使えない」という学習者の感想には、英語が聴き取れないことが大きな要因として存在している。このため、リスニングに力を入れたい。「話されるスピード」と「音の崩れ」に慣れるため、数千時間以上の音声体験が必要である。授業以外にも、毎日、英語に耳を傾ける習慣を身につけ、実践してもらいたい。
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