●本授業の目的およびねらい
今日の医療技術では,放射線,電子計測器,高磁場,超伝導など,物理的な技術や
測定の知識がますます重要になっている。
本授業ではこのような物理の教養を,実際の物理現象を観察し,様々な物理量を測
定し,背景にある法則を理解することによって習得する。この中には,基本的な
物理測定の方法と原理,実験の技術などを習得することが含まれる。さらに,演習
を通して測定データの記録と処理,表現の方法についても学ぶ。
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●履修条件あるいは関連する科目等
授業は,力学,電磁気学,物理学基礎1,物理学基礎2の履修(履修中のものも含む)
を想定して実施されるが,高校物理I程度の基礎知識があれば受講可能である。
医学部医学科,医学部保健学科の学生の受講を前提としている。
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●授業内容
実験と演習を次の内容で実施する(都合により変更有り)。
第1回授業ではガイダンスと演習を行う。
【実験】
1.重力加速度:剛体振子による重力加速度の測定
2.磁場中の電子の運動:一様な磁場中の電子の運動の観察,および電子の軌道半径と
加速電圧,磁場の強さとの関係,電子の比電荷の測定
3.等電位線:定常電流が流れる導体(アルミニウム箔)の等電位線,電気力線の観察
4.超伝導と電気抵抗:極低温での電気抵抗と,超伝導体を用いたマイスナー効果などの
観察
5.回折格子による光の波長測定:カドミウム原子の線スペクトル光の波長測定
6.放射能の測定:GM計数管によるβ線放射能の測定,計数の統計的変動の観察
7.オシロスコープ:電圧,周波数,位相差,リサージュ図形の測定など2現象オシロ
スコープを用いた計測方法の習得,およびRC回路による位相変化の測定
8.電気回路の共振現象:2現象オシロスコープによるLCR回路の共振現象の観察,
入力周波数の変化に対する出力の振幅の共振曲線と位相差の測定
【演習】
1.単位,有効数字,数値計算,測定機器と測定誤差などについての演習
2.誤差の伝播,測定データの処理,グラフ表示,最小2乗法についての演習
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●成績評価の方法
授業時の評価,レポートの評価による。実習であるので,出席は絶対条件である。
3回以上休むと自動的に不可となるのでやむを得ない事情で休む場合はできるかぎり
事前に教員に連絡すること。
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●教科書
「物理学実験指針」(実験指針編集委員会)
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●参考書
物理学実験の実験指針と併用して予習するためのビデオ教材が
http://olms.media.nagoya−u.ac.jp/pex/
から視聴できる(アドレスは半角で入力)。
すべてのテーマを網羅しているわけではないが、受講の際の参考にしてもらいたい。
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●注意事項
白衣・安全めがねなどは不要であるが,動きやすい服装で受講すること。受講の
際は物理学実験指針,安全の手引き,実験ノート(普通のノートでよい)、関数電卓が
必要である。また、実験前に物理学実験指針の該当部分を読んで、実験内容を
確認しておくこと。
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