2009年度 シラバス情報詳細

●科目区分
理系基礎科目(理系)

●科目名
化学実験
●主担当教員名
安田 啓司

●単位数
1.5単位

●開講時期
T 期
金・4 金・5
●対象学部
工学部V系



●本授業の目的およびねらい
自らの手で化学物質を取扱う実験を行い,レポート作成を通して思考することによって,

化学物質の性質や反応を体験的に学習する。物質の成り立ちや基本的な性質について,高

校「化学」の学習項目に関する基礎的内容から出発し,高度な内容を自発的に学習する。

これにより全学教育科目「化学基礎T」および「化学基礎U」の内容を補完し,理科系各

学部で履修する専門科目の理解に必要な化学に関する基礎知識や思考力を養う。合わせて

,実験操作や結果の正しい実験ノートへの記録方法,ならびに実験結果の解析・資料調査

・科学的考察をふまえた分りやすいレポートによる報告方法を体得する。       


●履修条件あるいは関連する科目等
授業第1回目に行う「安全講習」の受講を必修とする。高校「化学T」の全範囲,および

「化学U」の第1部(理論化学分野)について学習していること,「化学基礎T」および

「化学基礎U」を履修していることを前提に授業の進行,ならびに成績評価を行う。  


●授業内容
0.0 「ガイダンス」1回;化学実験の目的と内容,授業の進め方,実験ノートの記録

方法,レポートの書き方について説明する。                    

0.1 「安全講習」1回;化学実験を安全に行う上で不可欠な,実験室における一般的

注意,薬品や機器の取扱い,防災・安全設備について説明する。           

1.1 「無機定性分析実験講義」1回;無機陽イオンと陰イオンの反応,金属塩の沈殿

生成,錯イオンについて,溶解度積やイオン平衡式に基づいて取扱う方法を説明する。 

1.2 「無機定性分析実験」3回;金属イオンと陰イオンとの反応による金属塩化物,

硫化物,水酸化物の沈殿生成,および金属塩とアンモニアとの錯イオン形成反応を行う。

さらに,これらの反応を利用した未知試料の系統的分析を行う。           

2.1 「化学物質の合成,ならびに滴定分析実験講義」1回;カルボン酸エステル,鉄

キレート錯体の合成をもとに,化学物質の構造,合成・精製・評価(同定)方法,反応機

構と触媒の役割について説明する。また,中和滴定における当量点とpHの関係,使用器

具の精度と正しい使用法,得られる測定精度について解説する。           

2.2 「有機合成実験」1回;アセチルサリチル酸の合成と融点測定を行う。    

2.3 「無機合成実験」1回;トリオキサラト鉄酸カリウムの合成と光反応を行う。 

2.4 「中和滴定実験」1回;強塩基による強酸,弱酸の中和滴定を行い,用いた酸の

正確な濃度,ならびに酸解離定数を決定する。                   

3.1 「物理化学実験講義」1回;光のエネルギー,化学物質の構造と光の吸収の関係

について説明する。また,化学反応の速度とエネルギーとの関係,化学的振動反応の原理

と非線形反応について説明する。                         

3.2 「光の吸収とスペクトル」2回;分光器を用いた種々光源の分光分析,ならびに

着色溶液の紫外可視吸収スペクトル測定を行い,光の波長と色,吸収・透過・反射の関係

,分子・原子の電子状態について調べる。                     

3.3 「反応速度とエネルギー」1回;化学的振動反応の誘導期、振動周期を測定し,

反応温度と反応速度,及び活性化エネルギーとの関係について調べる。        


●成績評価の方法
予習や安全等の諸注意を遵守した実験への真摯な取り組み,実験ノートへの正確な記録な

どを,授業時間中に評価する。これと実験操作や結果・課題の解答・考察を報告したレポ

ートの成績とを総合的に評価する。                        



●教科書
村田静昭・浦野扶美著「理系基礎化学実験」を用いる。テキストは改訂の予定であるので

注意すること(昨年度までのテキストは使えない)。入手方法についてはガイダンス等で

指示する。                                   


●参考書
履修条件に示した高等学校化学内容の復習に関して,高校で使用した副教材(化学資料集

等)が適当である。                               

                                        

                                        


●注意事項
授業第1回目に行う「安全講習」を履修しなかった者や,ここで指導された安全に関する

諸注意を遵守しない者には,実験の受講資格を与えない。実験室中では常時安全メガネの

着用が義務付けられていることを特に断っておく。実験室の適正収容人数(192人)を

超える場合には受講者数の調整を行うことがある。                 



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