学部・大学院区分学部
時間割コード0023306
科目区分文系教養科目
科目名 【日本語】社会と環境
科目名 【英語】Society and the Environment
主担当教員 【日本語】香坂 玲
主担当教員 【英語】KOHSAKA Ryo
単位数2
開講期・開講時間帯Ⅱ 水曜日 3時限


本授業の目的およびねらい
本授業科目は,人文・社会科学系分野の諸現象について,それらの諸現象を学際的,総合的に分析,把握する能力を育むとともに,他の学問分野との関連性について理解することが目的である。
中部地方の土壌汚染、動物の福祉、環境・公害報道等の事象から、現代のグローバルな問題に敷衍し、批判的に議論する能力を養うことを目的とする。ポリティカル・エコロジーの基本的事項を理解し、そうした視角から現代的課題を読み解く力を獲得できることを到達目標とする。
授業の構成
 講義、グループワーク、フィールドワーク、を併用しながら、どのように社会がある事象を「環境問題」として、交渉し、切り出し、定義をしていくのか、その動的なプロセスを理解する。ローカルな題材を入口とし、国際的な議論まで敷衍し、環境問題の解決を持続的に行うために必要な社会的仕組みを明らかにする。フィールドワークについては、条件を参照のこと。
1 イントロダクション
・ローカルな事象(いつから何が「環境問題」となっていくのか。その動的プロセスを考える: テキスト「地方再生」 第3章名古屋市熱田区)
2 熱田区の土壌汚染から     生物多様性条約のCOP15の議論など
3 森づくり・森林再生を巡る賛否
4 フィールドワーク(熱田区 三五の森 視察 *コロナの状況次第)
5 グループワーク 振り返り 
・動物からヒトと動物、ヒトと環境問題の関係を考える(今までの当たり前を崩す)
Zoos and tourism(16章),「動物園というメディア」(第 1,8 ,9 章)
6 英国のキツネ狩り、階級・動物の表象、動物の福祉・権利
7 動物園の機能
8 メディアとしての動物園、帝国と動物園の誕生
9 【学外】 フィールドワーク 東山動植物園 *コロナの状況次第
10 グループワーク 東山動植物園 振り返り
・公害と報道 (テキスト「地方再生」 6、8章 三重県四日市市、熊本県水俣市
 環境メディア論も参考に)
11 四大公害
12 公害、環境問題とメディア
13 四日市の現状 、14 グループワーク 振り返り
15 まとめ:環境問題とマルチスケール、ローカル、ナショナル等の関係性について

講義のうち、英語による 国際会議・研究発表 の講演を聞く回を設ける予定である。
慣れる意味でも取り組む意欲のあることが望ましい。
履修条件・関連する科目
2回フィールドワークでは現地集合開催 熱田区六野への交通費および東山動植物園までの交通費入場料500円は各自負担となる 昼休み時間帯移動、予備日等での2コマ分での時間の参加が必要となることがある。
成績評価の方法と基準
平常点(授業中に毎回実施する小レポートの内容) 50% (ルーブリック評価も有り)、レポート 50%、履修取り下げについては総合的な学習状況により判断する。
教科書・テキスト
地域再生 : 逆境から生まれる新たな試み 香坂玲 岩波書店 ISBN978-4-00-270851-5
森林カメラ : 美しい森といのちの物語 香坂玲 アサヒビール(株) ISBN978-4-87950-602-3
地域再生のブランド戦略 : 人口1000人の元気の秘密 多田憲一郎 イマジン出版(株) ISBN978-4-87299-596-1
参考書
・動物からの倫理学入門 伊勢田 哲治 (2008) 名古屋大学出版会 ISBN978-4815805999
・アニマルウェルフェア : 動物の幸せについての科学と倫理 佐藤 衆介 (2005) 東京大学出版会 ISBN 978-4130730501                                                      ・動物園というメディア 渡辺 守雄(2001)青弓社【絶版】 ISBN978-4787231772(講義にて一部 配布予定)
・Zoos and tourism : conservation, education, entertainment? Forst Warwick ed.(2010) Channel View Publications ISBN978-1845411633
・メディアは環境問題をどう伝えてきたのか : 公害・地球温暖化・生物多様性 関谷 直也・瀬川 至朗 編著 ミネルヴァ書房 ISBN978-4623073634
・環境メディア論 地球環境戦略研究機関(2001)【絶版】ISBN978-4805821343(講義にて一部 配布予定)
注意事項
携帯電話をいじること、話すこと、音を立てての遅刻、私語など,他の学生の迷惑となる行為に対しては厳しく対処する。グループワーク、フィールドワークでは受け身ではなく、積極的に話を聞き、発信もするように。学期末にレポートの提出が必要。地域への関心と合わせて、海外での動向を含めて広い関心があることが望ましい。
本授業に関する参照Webページ
担当教員からのメッセージ
Environmental challenges are local and globalized issues, requiring multi-dimensional approach. The global dimension, such as transboundary air pollution or climate change, require international collaboration while concrete challenges emerge at the local level. Through this lecture we analyze various environmental challenges (soil contamination, animal welfare, media of environmental challenges) and critically evaluate the approaches. The basic of political ecology is lectured. Basic skills of academic writing is trained.

本講義では、初年度という受講生も多いと思います。既に答えがあるものに定石や知識だけで対応するのではなく、既存の研究の議論やフィールドでの「ひっかかり」や議論を立ち止まって考える機会にもなるように大学生活をしていきましょう。
 外に出る場では、時間を割いてくれている相手にも敬意を持ちましょう。同時に、講義で知識を習得する一方方向だけではなく、自ら積極的に傾聴し、発信をする態度を心がけましょう。到達段階はルーブリックで示していきます。