学部・大学院区分学部
時間割コード0023103
科目区分理系基礎科目
科目名 【日本語】生物学基礎Ⅱ
科目名 【英語】Fundamentals of Biology II
主担当教員 【日本語】一柳 健司
主担当教員 【英語】ICHIYANAGI Kenji
単位数2
開講期・開講時間帯Ⅱ 水曜日 1時限


本授業の目的およびねらい
本授業科目は,自然科学系分野の学問体系を認識するとともに,自主的判断能力を培うことが目的である。
細胞の遺伝情報はDNAの塩基配列に暗号として書き込まれている。本授業ではDNAの構造と機能について学び,細胞が遺伝情報を複製,分配する仕組み,また解読,利用する仕組みを理解することを目的とする。また,分子生物学黎明期にこれらのメカニズムが解明された経緯も学び,分子生物学における思考法を習得し,さらに遺伝子組み換え生物や胚性幹細胞などの社会的な問題を科学的に判断する素養を身につけることも目指す。
授業の構成
前半はDNAおよびRNAの構造,DNAの複製および修復について解説し(担当:吉岡博文),後半に転写,翻訳,遺伝子発現調節など,遺伝子が発現してタンパク質となるまでの仕組みについて解説する(担当:一柳健司)。また随時,分子生物学的な研究の手法について重要なものを取り上げて説明する。

授業計画
01. はじめに:分子生物学の重要性
02. ヌクレオチドと核酸の構造
03. 染色体の構造
04. DNA複製の基本機構
05. 変異とDNA修復機構
06. DNAの組換えと転移性遺伝因子
07. セントラルドグマにおける遺伝情報の流れとRNA合成機構(転写)
08. 転写後のRNAプロセシング
09. タンパク質の合成機構(翻訳)
10. 遺伝子の変異とタンパク質の変化の関係
11. 遺伝子発現の調節機構
12. 多細胞生物の発生における遺伝子発現制御の重要性
13. レトロウイルス、レトロトランスポゾンと逆転写酵素
14. 遺伝子組換え技術
15. 授業の総括及び試験


授業のキーワード: DNA,遺伝子,核酸,転写,翻訳, 遺伝子発現調節
履修条件・関連する科目
関連性のある科目は以下のとおり。
生物学基礎I(I期開講),生物化学1(I期開講), 遺伝学(III期開講)
成績評価の方法と基準
核酸の構造や遺伝子に関する基本概念と用語を正しく説明できることを合格の基準とし、授業への取り組み(20%)と試験(80%)によって評価する。
教科書・テキスト
「レーニンジャーの新生化学 上・下」第7版 (廣川書店)
ISBN-13: 978-4567244084(上)、978-4567244091(下)
参考書
「ヴォート基礎生化学」 第4版(東京化学同人)ISBN-13: 978-4807908455
「キャンベル生物学」 原書11版 (丸善出版株式会社) ISBN-13: 978-4621085608
注意事項
学生が学業について質問・相談をすることで個人的指導を受けられる時間 (オフィスアワー)については各教員にメールで問い合わせること。(@以下に「agr.nagoya-u.ac.jp」を付けてください)
吉岡博文:hyoshiok@;一柳健司:ichiyana@
本授業に関する参照Webページ
担当教員からのメッセージ
This course is designed to promote an understanding of the study of natural sciences and to foster independent decision-making capabilities. The genetic information of organisms is encoded in the sequence of DNA molecules. The goal of this course is to understand the structure and function of DNA, replication and segregation of these DNAs, and how the nucleotide sequence of DNA is decoded to produce functional RNAs and proteins. Moreover, the objectives include understanding the thinking way of molecular biology by studying past experiments and debates about the mechanism of gene expression and its regulation.

<授業内容の補足> (addendum: this is not a translation of the above description.)
本講義では、様々な生物現象を理解するのに非常に重要な「遺伝子とその制御」について講義します。生物個体が持つ性質の大部分はゲノム情報に書き込まれており、その分子実態はDNAです。異なる性質の元になる「変異」もDNA分子上に起こります。遺伝子の機能を制御する「遺伝子発現制御」は、環境変化への適応、個体発生(器官形成や細胞機能の分化)、恒常性、病気・健康、老化など、遺伝子発現の量やタイミングを制御することは様々な生命現象の根幹を成します。したがって、主に生物を対象として扱う農学分野では遺伝子発現制御機構の理解は必須です。本講義で、受講者が遺伝子とその発現制御の基本的な概念をきちんと理解することを目指します。