●本授業の目的およびねらい
大学における勉学の基礎となる、文献を読み、ある程度抽象的な内容を、主体的に考え、それを言葉により表現する能力を訓練する。 この目的のために、人間の感情をテーマにした哲学の入門的な書籍を講読し、内容を理解するための努力をしながら、人間とはどのような存在であるのかを考える。
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●履修条件あるいは関連する科目等
特になし。
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●授業内容
戸田山和久『恐怖の哲学―ホラーで人間を読む』をテキストとして講読する。最初に、この本が問題としている内容、この本の読み方について簡単な講義を行う。各章の担当者を決め、担当者は担当部分を精読し理解した上でレジュメを作成し、授業において発表する(45分程度)。発表された内容について、教員を交え、受講者全員で議論・検討を行う(45分程度)。このため、受講者は、自分の担当箇所はもちろん、毎回の授業で扱う範囲を読んでくることが求められる。
なお、受講者の関心に応じて、担当教員(大平)の専門分野についての講義や文献講読も行うことがある。
第1回 イントロダクション 第2回~第14回 担当者による発表・議論 第15回 まとめ
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●成績評価の方法
授業への出席:30%、担当箇所の発表:30%、授業における議論への参加などの貢献:30%、小レポート:10%
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●教科書
戸田山和久 『恐怖の哲学―ホラーで人間を読む』 NHK出版新書
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●参考書
授業において必要に応じて紹介する。
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●注意事項
この授業で用いるテキストは、平易な言葉で書かれているが、内容の理解にはある程度の努力を必要とする。担当箇所の発表だけではなく、全体の理解を重視するので、成績評価においては授業への出席と参加の配点が大きい。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
担当教員(大平)は、心理学を専門としており、特に生理心理学や認知神経科学という、人間の精神活動や行動を脳や身体の機能から説明しようとする研究を行っています。ですので担当教員は哲学の専門家ではありません。
しかし、哲学の真の重要性は、人間観や世界観を構成する概念や要因、それらの機能について探求することです。そうした思考の訓練を行っておくことは、どのような分野を専攻するとしても有益であろうと考えます。もちろん、私が専門とする心理学においても、です、現在の心理学は実験を主な方法とし、自然科学的な学問になっています。しかし、単なる知識の集積で終わらないためには、哲学的な問いを意識し続けることは重要です。
そうした意味から、この授業で取り上げるテキストは、担当教員が主な研究テーマとしている感情を、心理学や神経科学の知見にも配慮しつつ、哲学的に論じるもので、示唆に富みます。
この授業は楽に単位が取得できる、というわけにはいかないと思います。しかし一定の努力をしてもらえば、有益な体験ができるのではないかと思います。そのような熱意のある受講者を歓迎します。
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