2019年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20190022401

●科目区分
基礎セミナー

●科目名
基礎セミナーB
●主担当教員名
鈴木 真

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅱ期
火・4
●対象学部
文・教・法・経



●本授業の目的およびねらい

セミナーのテーマ: 死の哲学
本授業では、死に関する哲学的諸問題について学び、議論します。私たちにとって生きることは少しずつ死んでいくことなので、死やその意味について論じることは生きることとその意味について論じることにもなります。取り扱う問題の例は次のようなものです。
「死とは何か」「死は何かを我々から奪うのか」「死は恐れたり、絶望したりすべきものなのか」「不死は望ましいことか」「自殺は許されることがあるのか」

●履修条件あるいは関連する科目等

「本授業の目的およびねらい」であげたような問題に興味があること。主体的に参加できること。他者の意見を聞き,グループ作業が可能なこと。

●授業内容

テキストで扱われている死に関する哲学的問題を検討していきます。この際、各パートについて担当者を決め、担当者には各授業の前にテキストの該当箇所の内容のまとめを作って授業の際に発表してもらいます。他の受講者にも予習においてテキストの該当部分を読んできてもらい、発表者のまとめが適切かどうか確認したうえで、その哲学的な議論を検討していきます。各受講者には学期末に自分が選んだ問題について自分の見解を述べて擁護するレポートを出すことを最終課題として求めます。

●成績評価の方法

努力・意欲,発表能力・内容,討論への参加,レポート(各25%)
学期途中で履修の意思がなくなった場合,履修取り下げ届を提出する必要があります。

●教科書

シェリー・ケーガン (著), 柴田裕之 (翻訳)『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義』文響社 (2018/10/5) ISBN-13: 978-4866510774。

●参考書

Luper, Steven, "Death", The Stanford Encyclopedia of Philosophy, Edward N. Zalta (ed.), URL=<https://plato.stanford.edu/archives/sum2016/entries/death/>.

●注意事項

この授業を受講する人は、死という重大な題材について合理的な議論をするのに十分な心の余裕をもって参加してください。
剽窃を避け、参考にした資料の著作権を侵害しないようにする、といった研究倫理を遵守してください。

●本授業に関する参照Webページ



●担当者からの言葉(Webページのみ表示)

哲学・倫理学は,可能性・必然性,虚構,意味,理由,価値などに関わる,観察や実験によって直ちに決着はつかないけれども根本的な問いを扱います。このような問いの理解は,他の諸学問の実践においても重要です。そして哲学を学ぶことは,想像力を拡張し,様々な気づきや思考とその共有を可能にする言葉を与えます。哲学・倫理学を学ぶことの醍醐味は,私たちの想定の根拠を問い,批判的で多角的な視点を持つという意味における自由を獲得できるところにあります。本授業では、死の哲学・倫理学の諸問題を議論する中でこの醍醐味を伝え,皆さんが考える存在として豊かに生きることに貢献したいと思います。
本授業で重視する基礎教育上のポイントは以下のものです。
1.問題設定力の育成。問題設定を誤ると不毛な探究に陥ることを理解し,建設的な問いを立てるために必要な注意を払うことができるようにする。
2.論理的思考力の育成。議論の構成や批判を通じて論理的な思考が自分でできるようにする。3.批判的思考力の育成。常識でも理由があれば疑い是非を考えるという哲学の制約のない探究の面白さを伝えつつ,賛成と反対の両方の理由を公平に評価できる批判的思考力を育成する。
4.抽象的理論的思考力と情報伝達能力の向上。自由意志の存在や人格の同一性が何に存するのかといった抽象的な問題を検討することを通じて,理論的思考能力や,明晰な表現,例示,比喩などでわかりやすくする説明する能力を陶冶する。
5.証拠や方法論への感受性の育成。主張が真か偽かだけでなく,どんな証拠と方法論で支持されるかという点にも注意を促すことで,証拠を要求・吟味し方法論に着目する態度を形成する。6.知的討論への耐性の涵養。互いの立場を批判しつつ真理への接近を試みることで,知的論争を勝ち負けの問題ではなく,よい結論を得るための協力的な過程として捉える態度を育てる。


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