●本授業の目的およびねらい
現代社会は少子高齢化や地球環境破壊に代表されるような重大問題に直面しており、大学にはこれら難問に果敢に立ち向かい解決する人材の養成が求められている。 本セミナーでは、研究者や技術者に留まらず、知的社会人に必要な「自らの頭で考え、問題の本質を捉えるようとする姿勢」を育み、「問題解決に向けて論理的に物事を考える力」の涵養を図るとともに、真理探究の面白さを体験する。また、「討論力」や「プレゼンテーション能力」など、社会で必要な基礎力を身につける。
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●履修条件あるいは関連する科目等
履修条件は特にない。関連科目は「現代物理学序論」などである。
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●授業内容
本セミナーでは、20世紀を代表する天才物理学者アインシュタインがインフェルトとともに著した「物理学はいかに創られたか」をテキストとして使用する。その内容は以下の通りである。第1章「力学的自然観の勃興」、第2章「力学的自然観の凋落」、第3章「場・相対性」、第4章「量子」。この歴史的名著は、専門的予備知識を持たない読者のために書かれた物理学の入門書であり、現代物理学の全貌が平易に解説されている。数式を用いず、巧みな比喩と明快な叙述によって、ガリレイやニュートン以来の物理思想から一歩一歩発展の段階をたどり、相対性理論および量子論にまで説き及ぶように構成されている。特に、「物理学の形成の過程(人間の心が観念の世界と現象の世界との関係を如何に見つけてきたか)」が丁寧に書かれており、「科学者は難問解決のためにどのように考え、行動してきたか」が理解されるであろう。 セミナーの基本的な進め方は、次のようである。まず、テキストの担当箇所を読むとともに、それに関連した事項(理論や実験など)を他の資料(本でも論文でもネットの情報でも構わない)を用いて調べる(予習)。次に、その内容を皆の前で(板書やパワーポイントなどを用い)説明し、討論を通し、(聞き手の)疑問点の解消や(話し手および聞き手の)理解の深化を図る。具体的な進め方については初回の授業のときに相談したい。 セミナーを進めるうえで次の2点が重要である。(1)積極的な取り組み姿勢:1度質問をして議論を終えるのではなく、回答に対し質問を繰り返すなどして、議論を深めることが重要である。(2)分かり易くためになるプレゼンテーション(聞き手が、聞いてよかったと感じるプレゼンテーション):テキストに書いてあることだけでなく、自らが興味を引かれた現象・実験・理論などを調べ、それを他者に分かりやすく論理的に説明することが重要である。
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●成績評価の方法
学期途中で履修の取りやめを希望する場合は、担当教員の許可を必要とする。評価は、「セミナーに対する取り組み姿勢」と「プレゼンテーションの内容」(各50点)である。
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●教科書
「物理学はいかに創られたか」アインシュタイン、インフェルト著、石原純訳、岩波新書(上下)R-14, R-15
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●参考書
適宜示す。
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●注意事項
発表資料やレポートにおいては、情報の引用源(文献等)を明記すること。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
「分からないのは自分だけかもしれない」とは思わずに、積極的に質問をしましょう。また、科学の世界においては他者と異なることは貴重なことですので、自分の意見を臆せず表明しましょう。
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