●本授業の目的およびねらい
自然界にはどのような酵素(生体触媒)が存在するのか、そして、酵素がどのようなメカニズムで機能しているのかを学ぶとともに、我々の生活で利用されている酵素ならびに酵素を利用する物質変換について概観する。また、酵素を人工的に改変する酵素工学の基礎を学ぶ。
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●履修条件あるいは関連する科目等
基礎化学を理解していることが望ましい。
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●授業内容
本セミナーでは、自然界に存在する酵素(生体触媒)の反応機構や役割などを学ぶことを目的として、我々の生活に関連する酵素、ならびに酵素を利用して作られている商品などを各自で自由に調べてもらいレポートとして発表してもらいます。そして、発表内容を議論する過程で、生物の生命維持に欠かせない酵素の役割を「化学の視点から」眺め、生体内ではどのような役割を果たしているのか、酵素のどのような特徴を利用した商品があるのかを学びます。近年、急速に発展してきた蛋白質のエックス線結晶構造解析や遺伝子工学的手法などの酵素の改変法についても、どのような手法であるのかなど基礎的な事項を紹介していきたいと思います。
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●成績評価の方法
出席、発表、質問などのディスカッションを評価
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●教科書
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●参考書
ヴォート生化学(東京化学同人)、細胞の分子生物学(株式会社ニュートンプレス)などまた、適宜資料を配付します。
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●注意事項
本セミナーでは、蛋白質の構造を見るアプリケーションなどのインストールの仕方と使い方を紹介しますので、ノートパソコンを持っていることが望ましいです。(無くても受講可)
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
我々の生活の中には、酵素が関連する商品や酵素を使って作られている商品が多くあり、酵素の力無くして、現在の豊かな生活はできないといっても過言ではありません。酵素は、一般的に、常温、常圧の温和な条件で機能するので、化学工場で行われている物質変換をすべて酵素を利用した反応に置き換えることができれば、高温高圧に耐えうる反応装置の必要がなくなるだけでなく、反応系の温度を高温に保つためにエネルギーを消費する必要が無いので、あらゆる面で、環境に配慮した物質変換が可能になります。自然界には、多様な酵素が存在し、それぞれの酵素の役割も多彩です。酵素の特徴は、酵素を構成する蛋白質のアミノ酸配列により決められ、これらに微量の金属元素などが加わると更に多様な反応を行うことができるようになります。こういった酵素の反応を化学の視点から眺めて理解することで、酵素の無限の可能性をうまく引き出し、我々の生活に役立つ物質変換や酵素自体の利用法を生み出すことができると考えています。我々の生活に関連する酵素を調べることを入口として酵素を学び、その利用法を考える過程で、本来の生体内での酵素の機能を学んでいきたいと思います。
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