●本授業の目的およびねらい
常微分方程式および偏微分方程式を用いた数理解析は、工学や物理学における諸現象を理解する上で重要である。また一方で、そのような解析の数学的な基礎付けは本講の題目である「現代数学」とも密接に関わり、数学者による研究の最前線につながっている。本講では、できるだけ少ない予備知識のもとで、当分野における基本的な考え方や方法について概説する。
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●履修条件あるいは関連する科目等
履修条件は特に設けない。
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●授業内容
方程式の変形、変数変換、積分を有限回繰り返して解の表示を求めることを「求積する」というが、実は求積できない微分方程式のほうが圧倒的に多く、そうであっても解の存在を証明することを、微分方程式を「解く」という。そのために、現代数学のアイデアを総動員することとなるが、端緒は常微分方程式に対するCauchy の着想であった。微分方程式を解くこととは別に、解の性質を方程式から直接取り出す考え方も重要であり、19世紀後半のPoincare による定性的理論はその好例と言える。また、偏微分方程式の取り扱いは一般に常微分方程式ほど単純ではないが、最も重油な2階定数係数線型方程式である熱方程式、Poisson-Laplace方程式および波動方程式については、与えられた付帯条件に応じた解析のやりかたが確立されている。以上を主題として、順に解説していく。簡単のために熱と波動は空間1次元のものを取り上げる。調和関数の優れた性質も併せて論じる。
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●成績評価の方法
期末試験により評価する。
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●教科書
教科書を使用しない。
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●参考書
藤田、池部、犬井、高見の共著による「数理物理に現われる偏微分方程式」(岩波講座基礎数学)は名著である。これの一部を平易に解説することが、本講の目的の1つであると言える。他の参考書については、講義中に紹介したい。
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●注意事項
特になし。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
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