2019年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20190012122

●科目区分
理系教養科目

●科目名
現代医療と生命科学
●主担当教員名
若林 俊彦

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅰ期
火・1
●対象学部
情(自然・コン)・理・医・農



●本授業の目的およびねらい

骨髄幹細胞、iPS細胞、等による神経再生医療の基礎研究と臨床研究の最先端で活躍されている脳科学の研究を提示する。また、これら神経変性疾患の標的を画像を駆使して可視化する超高磁場MRIの開発現場の成果を示す。また、最新手術関連医療機器を駆使しての近未来型脳神経外科手術室で実施されている神秘的な脳深部への果敢な脳神経外科医の挑戦を実体感する。その一方で、ブレインマシーンインターフェイス(BMI)の概念による新たな神経再生医療現場(あるいは神経補助機能医療機器開発)を体感する。

●履修条件あるいは関連する科目等

以前は不可能と言われていた神経再生医療が現実的に可能性を帯びて来ていることを実感する。

●授業内容

近年の脳神経疾患領域の画像診断技術及び手術等の技術支援システムの開発は目覚ましい進歩を遂げている。その結果、以前は救命すら出来なかった多くの神経難治性疾患から、今では無事生還する患者さんも多くなっていた。特に近年は、変性疾患や加齢により失われつつある神経機能への再生医療が大きくクローズアップされて来ている。痛んだ神経回路を修復すべく、高解像度の手術用顕微鏡を駆使し、術中MRIを用いて、リアルタイムの脳画像を見ながら、高精度のナビゲーションロボットを駆使して精巧に手術する技術は、あたかも精密な電子回路を修復している脳科学の新たな挑戦である。こうした画像情報・組織情報および機能情報等を統合することにより、いままでは手術不可能と言われた脳深部病変に対しても、生命予後の改善のみならず失われた神経機能の改善を目指した治療が可能となりつつある。さらに、世界にも類を見ない新たな術中センサーや衰退機能支援微小医療機器開発を推進し、ロボット手術や遠隔操作技術による新たな医療分野として頭角を現して来ている、ブレインマシーンインターフェイス(Brain Machine Interface)の新たな挑戦が展開されつつある。このように神経局所への手術操作精度が高まるとともに、その標的部分に挿入する細胞や組織あるいはマイクロマシーンなどの開発が急ピッチで進められている。特に、本邦では、再生医療・細胞療法研究で、本邦のノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥教授チームのiPS細胞を始め、骨髄幹細胞、胚細胞等の研究で、世界をリードしている。これらの修飾された細胞が、いかに失われた神経の再生に貢献できるのか、その基礎研究の歩みと、すでに臨床応用が始まっている研究成果を垣間み、今後の神経再生医療の展望と将来像を実体験する。

●成績評価の方法

講義は、一回で完結するので、講義終了時に、講義の評価表を含めたレポートの提出を求め、理解度を評価する。

●教科書

脳神経外科学/太田富雄、総監修(改訂12版)2016 金芳堂
今日の治療指針 2018 第15章 pp877-pp978、2018 医学書院

●参考書

脳腫瘍学 基礎研究と臨床研究の進歩 日本臨床 増刊 2016 日本臨床社
脳神経外科レジデントマニュアル 監修 若林俊彦 2016 医学書院
脳腫瘍臨床病理カラーアトラス 第4版 編集 若林俊彦、他 2017 医学書院

●注意事項

脳科学に興味を持つ学生諸君の参集を願う。
本授業科目は、実務経験のある教員(医師)が、その実務経験を活かして行う授業科目である。

●本授業に関する参照Webページ

https://med-nagoya-neurosurgery.jp/

●担当者からの言葉(Webページのみ表示)

現在の脳科学研究は、様々な原因で失われた神経の再生に貢献できるのか、その基礎研究の歩みと、すでに臨床応用が始まっている研究成果を垣間み、今後の神経再生医療の展望と将来像を実体験する。


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