2019年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20190032128

●科目区分
文系教養科目

●科目名
市場経済と社会
●主担当教員名
小堀 聡

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅲ期
火・1
●対象学部
情(自然・コン)・理・医・農



●本授業の目的およびねらい

 経済学のそもそもの目的は「個人のお金儲け」の理論化ではなく、「どうすればみなが幸せな共同体を構築できるか」を追求することにあります(佐藤雅彦・竹中平蔵『経済ってそういうことだったのか会議』)。したがって、「共同体」(社会)における経済のあり方が時代を通じて変化すると同時に、経済学の内容もまた変化してきました。
 この講義では、経済および経済学(とくに政治経済学と称される諸潮流)の変遷を歴史的に学ぶことで、現代の市場経済と経済学とをじっくりと考察できる姿勢を養うことを目指します。

●履修条件あるいは関連する科目等

 講義に関連する書評をレポート課題(2回)に課します。 講義期間中、関連する書籍を3冊以上読んでもらいます。読むこと・書くことが好きな学生、好きになりたい学生の受講を歓迎します。

●授業内容

1.イントロダクション:経済とはなにか、市場経済とはなにか

2.市場経済への道と「経済学」
(1)商業は是か非か?:古代ギリシア
(2)閉じた世界で生きていく:中世ヨーロッパ
(3)国家こそはすべて:絶対王政と重商主義

3.市場経済の誕生と経済学
(1)市場経済と経済学の誕生:アダム・スミス
(2)経済成長はどこまで続くか:リカード、J.S.ミル、シュムペーター、ガーシェンクロン
(3)市場経済は貧困を生み出す:マルクス

4.20世紀の経済と経済学
(1)市場経済は戦争を生み出す:レーニン
(2)社会主義経済とその挫折:マルクス、レーニン、コルナイ
(3)市場経済を修理する:フォードとケインズ
(4)自由こそはすべて:フリードマン

5.経済成長の諸問題
(1)国際貿易は是か非か?:リカードとウォーラーステイン
(2)経済成長は公害を生み出す:宇井純と原田正純

●成績評価の方法

中間レポート1,200字程度(25%)+期末レポート4,800字以上(75%)
履修取下げ制度は採用しない。期末レポートを提出しない場合は「欠席」、提出して不合格の場合は「F」とする。

●教科書

指定しない。毎回レジュメを使用します。

●参考書

諸富徹『経済学』岩波書店、2009年
河野健二『西洋経済史』岩波全書、1980年
池上彰『池上彰のやさしい経済学 1』日本経済新聞出版社、2012年

●注意事項

レジュメはNUCTにて事前に配布します。各自事前に目を通した上で、持参すること。

●本授業に関する参照Webページ



●担当者からの言葉(Webページのみ表示)

 経済ときくと、グローバル化、財政赤字、環境問題などさまざまなことがイメージされると思います。しかし、現在目にする経済システムは何れも最初から今のような姿になっていたのではなく、変化を繰り返すなかで今のような姿になったものです。ですから、現代の経済についてじっくりと考え抜くには、その変化の繰り返し=歴史を学ぶことが有益です。これは経済だけではなく現代社会のあらゆることについていえます。


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