2019年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20190021117

●科目区分
文系教養科目

●科目名
民主主義の歴史と現在
●主担当教員名
石井 三記

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅱ期
月・1
●対象学部
情(自然・コン)・理・医・農



●本授業の目的およびねらい

この授業では、フランス革命を中心として、革命の思想的な支柱となるルソー『社会契約論』を全員で検討しつつ、革命期に出された「諸」人権宣言の読解をおこない、現在のフランス第五共和政の制度も見てゆくことで、フランスを参照枠として民主主義の歴史と現在について理解を深める。具体的には、書名こそ有名ではあるものの、非常に難解とされるルソーの『社会契約論』を分担発表してもらい、ルソーの影響もみられるフランス革命期の人権宣言を読み解く作業をしてもらう。

●履修条件あるいは関連する科目等

履修条件は特にないが、下記の授業内容および注意事項にもあるように、フランス語の知識があると授業の理解に役立つ。

●授業内容

この授業では、フランス革命に焦点をあて、革命前の王政が立憲君主政を経て共和政に転換する過程を追いつつ、現代フランスの第五共和政に革命の原理がどのように根付いているのかを見ていくことにする。授業の進め方は、やや変則的ながら、毎回ルソー『社会契約論』の発表(プレゼンテーション)を30分程度おこなってもらい、また毎回ではないがフランス革命期の人権宣言テクストの読解についての課題を課して、その解説もおこなう。1789年人権宣言はユネスコの世界の記憶遺産にもなっているが、じつはフランスにおいては現行法としての意義があることを、フランスの憲法院(憲法評議会)の制度を通して確認する。このテクスト理解のためにはフランス語の基礎知識を有していることが望まれる。
初回は、イントロダクションとして、授業全体のガイダンスをおこない、発表の分担を決める。したがって授業は発表形式と講義形式の二つを並行して進める予定でいる。
講義では、フランス革命前の、いわゆるアンシャン・レジームについて考察する。この時期は、政治的には、「絶対」王政の時代と呼ばれているが、その「絶対」のイメージは20世紀の全体主義的な政治システムとは大きく異なる。また身分制の時代だが、その内実についても検討を要する。フランス革命は絶対王政を倒して立憲王政そして共和政となって、自由と平等の人権宣言を制定する。じつは革命期には複数の宣言が出されており、その検討もおこなう。近代市民革命の典型とされるフランス革命は、1789年の人権宣言や近代的な法制度を作り上げ、今日の民主主義に大きな影響を与えているが、と同時に、テロルという言葉が革命期のロベスピエールを中心とした独裁的政治に用いられたことに窺えるように血なまぐさい面もあった。このフランス革命の光と影はグローバル化した今日においても見られることで、その意味でも革命のイデオロギーの一部をなすルソーの『社会契約論』は精読する価値があろう。

●成績評価の方法

受講者が少数の場合は平常点で評価する。すなわち、教科書担当部分のプレゼンテーション3割、授業時の発言等4割、課題提出や知識確認小テストを3割とするが、受講態度も考慮する。なお、履修取り下げ制度を採用し、その期限は10月30日とする。

●教科書

ルソー『社会契約論』(岩波文庫、光文社古典新約文庫、白水社、中央公論新社など)

●参考書

F・フュレ/M・オズーフ編『フランス革命事典』全7巻(みすず書房)
L・ハント『人権を創造する』(岩波書店)
鹿島茂『ドーダの近代史』(朝日新聞出版)


●注意事項

フランスを中心にした講義であるため、フランスの歴史・社会・言語の知識も求められる。具体的にはフランス語の用語が出てくるので、フランス語の辞書などを持参し、事前学習としてフランス史の知識を世界史の教科書・参考書等で確認して授業に臨んでいただきたい。したがって、安易な気持ちでの受講はお勧めできない。

●本授業に関する参照Webページ



●担当者からの言葉(Webページのみ表示)




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