●本授業の目的およびねらい
民主主義の諸制度は、現在きわめて危機的な状況に陥っているといわれている。こうした危機状況にあって、制度を見直し再建するためには、その背景にある歴史と理論をもう一度おさえたうえで現状を考え、将来を展望することが肝要であると考える。そこで、本講義では、民主主義の霊視と現在について、その古典的文献にまでさかのぼって考えることとする。
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●履修条件あるいは関連する科目等
なし
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●授業内容
1. 現在世界中で広がっている民主主義の諸制度の機能不全と人々のそれへの不信の拡大について、その現象を概観する。 2. 近代の民主主義諸制度に関する古典的文献が、様々な民主主義諸制度をどのようにみていたか、また、評価していたかをみていく(温故知新)。 2ー1.トクヴィルによる「アメリカのデモクラシー」 2ー2.J.S.ミルによる「代議制統治論」 2ー3.杉原泰雄による「人民主権論」 2ー4.ソ連という「実験」 3. 日本の地方自治の歴史から民主主義を考える。 3‐1.明治憲法下の地方自治 3‐2.日本国憲法と地方自治 3‐3.団体自治と住民自治 3‐4.分権改革と民主主義 3‐5.分権改革後の知寶示戸とその課題 4. 辺野古への米軍基地移転をめぐる国と沖縄県との係争から民主主義を考える。 4-1.事実経過 4-2.国と沖縄県との係争と裁判 4-3.住民投票 4-4.今後の展開について 5. これからの民主主義―第3世代の民主主義
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●成績評価の方法
期末試験により評価する。
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●教科書
関係文献・資料を配布する。
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●参考書
トクヴィル『アメリカのデモクラシー』(岩波文庫) J.S.ミル『代議制統治論』(岩波文庫) 杉原泰雄『民衆の国家構想』(日本評論社、1992年) 「特集 沖縄・辺野古と法」(法学セミナー2017年8号)
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●注意事項
授業で提示する文献および資料を事前によんでくることを期待する。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
中学および高校で学んだ社会科関連科目(地歴・公民)、そして、日々マスメディアが拡散しているの民主主義に関する「知識」のレベルは当然の前提である。しかし、本授業では、その「知識」が当然としているこれまで「常識」について、民主主義の危機のなかにあって、もう一度、受講者とそれを疑い見直し、過去、現在、未来を考えようとするものである。したがって、基礎知識は大切ではあるが、できるだけ既成の観念にとらわれない思考を身につけることを期待したい。
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