●本授業の目的およびねらい
本授業は、”高校までに習った化学”と”大学で学ぶ化学”を橋渡しすることを目的としています。無機化学の基礎となる項目(原子の構造、化学結合、凝集体、酸と塩基)について体系的に学び、物質の化学結合と反応性について理解することを目標とします。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
関連科目:高校までの化学・物理・数学 履修条件:工学部の学生を対象
|
●授業内容
1.原子の電子構造と周期性 ・原子スペクトル ・原子模型 (ボーア模型とその修正 及び 電子の波動性) ・量子数 と 軌道 ・電子を軌道に詰める(遮蔽、貫入、有効核電荷、パウリの排他原理、フントの規則) 2.元素の性質と周期性 ・原子半径 と イオン半径 ・イオン化エネルギー ・電子親和力 ・電気陰性度 ・分極 3.分子構造と結合 ・ルイス構造 (オクテット則と共鳴の概念) ・原子価結合理論による結合の解釈 4.無機固体とその結合 ・金属の結合と構造(hcp、fcc、bcc) ・イオン結合とイオン結晶 ・格子エネルギーとボルンハーバーサイクル 5.酸と塩基 ・ブレンステッドの酸塩基 ・ルイスの酸塩基
|
●成績評価の方法
中間試験 40点、期末試験 60点で評価し、100点満点で60点以上を合格とします。
|
●教科書
「はじめて学ぶ大学の無機化学」 三吉 克彦 著 化学同人 ISBN978-4-7598-0798-1
|
●参考書
「理工系学生のための化学基礎」 野村・川泉共編 学術図書出版社、ISBN978-4-7806-0351-4 「シュライバー アトキンス 無機化学(上)」 田中勝久 訳 東京化学同人 ISBN978-4-8079-0898-1
|
●注意事項
学部授業との兼ね合いから本講義の2年次での再履修が不可能となる場合がある。他学部向け化学基礎1による再履修は認められていない。
|
●本授業に関する参照Webページ
|
●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
これまでに、化学の様々な知識を得られてきたことと思います。高校までは、多くの方が授業、教科書、問題集などから学ばれた化学の知識を入試問題に解答するためだけに使われてきたのではないでしょうか。一方、皆さんが大学4年生で研究室配属されると、未来への可能性を秘めた様々なマテリアルに関する先端研究に取り組むことになるでしょう。こうした研究をすすめていくためには、自らが身につけた知識・考え方を活用し、知恵を絞って取り組む必要があります。 試験問題に解答するための知識ではなく、実践できる知識を身につけていくことが必要です。実践できる知識を身につけるためには、単に暗記するということではなく、基礎的な原理から理解することがなにより重要です。 この講義では、高校の化学で誰もが学ばれた”化学結合”に主な焦点をあてます。高校では暗記ですませていた事象について、その原理や考え方を説明し、無機化学分野における実践できる知識を身につけて頂きたいと思います。これにより、基礎的な原理から理解する姿勢を涵養し、その過程で「何故か?」を問い、それを理解することの楽しさも感じてもらえればと思います。 質問は大歓迎です。講義でわからない部分、「何故か?」と疑問にもった所があれば、積極的に質問にきてください。講義後に時間がない場合は、電子メールでアポイントを取って頂ければ、研究室での質問にも応じます。 理解を定着させるため、復習には重点をおいてください。
|