●本授業の目的およびねらい
化学であつかう物質はすべて原子から構成され、原子間の結合の組み替えが化学反応である。したがって、原子の状態や原子間の結合を原理的に理解できれば、物質の性質や構造、さらにはその反応性も予測可能である。そのための原理や法則をあつかった学問が量子力学である。この講義では、原子構造や分子結合を解釈するための量子力学的手法を説明する。講義の第一目標は「量子力学の化学への適用法の初歩を学ぶこと」である。さらに、原子・分子の集団である気体や固体について「分子間または原子間の相互作用から気体・固体のマクロな性質を理解すること」を第二目標とする。
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●履修条件あるいは関連する科目等
工学部の学生であり、また高校の化学・物理、および数学の微積分の知識を習得している事を前提とする。なお、本講義「化学基礎 I」の内容は、同じ教科書を用いる「化学基礎 II」の前半の内容である。
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●授業内容
[01週]序論 内容:この講義の概要および学ぶべきことの説明 [01-02週]気体の性質(教科書第1章) 内容:気体の性質について現象論的な解釈を説明し、それが分子論的解釈とどう結び つくかを説明する。さらに実在気体の状態方程式から気体の性質を予測する。 [03-04週]凝集体の構造と性質(教科書第2章) 内容:固体や液体を構成する分子や原子の間に働く凝集力について解説する。また固 体の構造や電子状態について簡単な説明をおこなう。 [05-10週]原子の構造(教科書第3章) 内容:量子論がなぜ必要であるかを説明し、その基礎を解説する。また、原子構造に 関する実験事実について量子論を用いた解釈をおこなう。 [11-15週]化学結合(教科書第4章) 内容:分子を構成する原子がどのような結合様式によって結合するか解説し、結合を 理論的に解釈するための分子軌道法について説明する。
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●成績評価の方法
・演習およびレポート(20%)並びに試験の成績(80%) ・履修取り下げ制度を採用する。 ・定期試験を受験しない者は「欠席」とする。
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●教科書
「理工系学生のための化学基礎 第6版」、野村浩泰・川泉文男(共編)、卜部 和夫・川泉 文男・平澤 政廣・松井 恒雄(共著)(学術図書出版社)ISBが:978-4-7806-0351-4
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●参考書
1.「高校数学でわかるシュレディンガー方程式」竹内淳著 講談社ブルーバックス 2.「演習で納得!! 理工系学生のための化学基礎」 川泉文男(著)(学術図書出版社) 3.「アトキンス 一般化学〈上〉」 Peter Atkins (著)他, 渡辺 正 (翻訳) (東京化学同人)
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●注意事項
学部授業との兼ね合いから本講義の2年次での再履修が不可能となる場合があり、他学部向け化学基礎Iによる再履修は原則として認められていないので1年次で履修すること。そのためには、授業前に教科書を読んで“予習”をし、必ず“復習”をすること。 また、他学部向け化学基礎Iとしての再履修は、原則として認められない。
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●本授業に関する参照Webページ
https://ct.nagoya-u.ac.jp/portal
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
NUCTにて講義資料は公開します。 また講義情報も適宜確認するよう心がけて下さい。 半年間、頑張りましょう。
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