●本授業の目的およびねらい
大学はありとあらゆるものを研究の対象としてきたが、大学自身を対象とすること、言い換えれば、自己反省的、自己言及的探求は遅れた。しかし、大学、高等教育機関は、人材養成や知識生産を行う機関として、現代社会の中で不可欠の役割を果たしている。そこで、この講義では、大学制度がどのような構造を持ち、どのような機能を果たしているのか、どのように変わりつつあるのかを、歴史や国際比較を中心に学ぶ。講義の目標は、大学制度の基礎的な知識を得ること、とくに日本の高等教育システムの構造を理解することである。こうした学びを通じて現代社会を理解する視点を養う。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
とくにないが、大学に興味を持つことが望ましい。
|
●授業内容
1.イントロダクション:高等教育の制度概念 2.大学の起源と歴史 中世の大学、大学と科学、近代大学 3.日本の高等教育の歴史 戦前日本の高等教育、戦後日本の高等教育 4.諸外国の高等教育 アメリカの高等教育、ヨーロッパの高等教育、アジアの高等教育 5.現代日本の高等教育の構造 入学者選抜、大学教育と職業、大学の教育力、学位の質保証 6.高等教育の大衆化と大学改革
文献:喜多村和之『高等教育の比較的考察』玉川大学出版部、島田雄次郎『ヨーロッパの大学』玉川大学出版部、ラシュドール(横尾壮英訳)『大学の起源』(上中下)東洋館出版社、ベン-デービッド(潮木守一・天野郁夫訳)『科学の社会学』至誠堂、吉川安『科学の社会史』南窓堂 中山茂『帝国大学の誕生』中央公論新社、天野郁夫『高等教育の日本的構造』玉川大学出版部 天野郁夫『旧制専門学校論』玉川大学出版部、有本章・羽田貴史・山野井敦徳編著『高等教育概論』ミネルヴァ書房、安原義仁・大塚豊・羽田貴史『大学と社会』放送大学教育振興会、『岩波講座 現代の教育 変貌する高等教育』岩波書店、金子元久『大学の教育力』ちくま新書、潮木守一『世界の大学危機』中公新書
なお授業は講義形式であり、毎回必要な図表や話す内容の一覧などを配布する。
|
●成績評価の方法
期末定期試験による。定期試験を欠席した場合に「欠席」とする。
|
●教科書
教科書はなし 講義で必要に応じて資料を配布する
|
●参考書
「授業内容」に提示、その他は授業中に適宜提示する。
|
●注意事項
|
●本授業に関する参照Webページ
|
●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
授業の内容は、歴史的なことであったり、海外の大学のことであったり、大学制度や組織のことなどであり、現在の自分に直接にはかかわりがないように思うこともあるかもしれないが、決して無関係ではない。自分が学ぶ場である「大学」が、どのような場所で、どのように自分と関わるのか、自分の行動や将来にどのような影響を与えるのかなどを考えながら受講してほしい。現在大学にかかわる情報は、個別大学のウェブサイトを含めて、あらゆる機会に入手可能であり、積極的にそうした情報にもアクセスしてほしい。
|