2019年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20190024104

●科目区分
文系基礎科目

●科目名
日本国憲法
●主担当教員名
大河内 美紀

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅱ期
木・1
●対象学部
文系



●本授業の目的およびねらい

本講義の目的は、社会に生起する諸問題のなかに潜む憲法学的な論点を発見し、分析する能力を身につけることにある。そのため、講義では条文解釈にとどまらず、裁判所の判決や近年の政治動向などを素材としながら憲法と社会との関係に注意を喚起していく。憲法の条文に「何が書いてあるのか」だけではなく、現実社会において憲法がどのように機能しているのか/いないのかを検討することを通じて、憲法学の基礎的知識を身につけるとともに、抱える諸問題を憲法学的観点から論じる能力を習得することを、本講義の学習目標とする。

●履修条件あるいは関連する科目等

特になし。ただし、高校レベルの世界史・日本史(特に近現代史)を再確認しておくことおよび、日常的に新聞に目を通しておくことが望ましい。


●授業内容

日本国憲法について学修する前提として憲法学の基本的諸概念について概説した後、日本国憲法の統治機構に関する諸問題および人権に関する諸問題を、具体的な裁判例などを導入にして論じる。具体的な内容は以下のとおり。

1.イントロダクション
2.憲法とは何か
3.近代立憲主義・近代憲法の基本原理
4.日本国憲法の制定
5.日本国憲法の基本原理
6.統治機構
7.平和主義
8.基本的人権・総論
9.基本的人権・各論
10.期末試験

本講義を受講するにあたっての入門的文献として以下を挙げておく。
・渋谷秀樹『憲法への招待』(岩波新書、2001)
・内山奈月・南野森『憲法主義』(PHP研究所、2014)

●成績評価の方法

期末試験による(100%)。詳細は講義時に指示する。
履修取り下げ制度は採用しない。期末試験を受験しない者は「欠席」とし、Fとはしない。

●教科書

特に指定しない。ただし、六法(ハンディなもので可)を持参すること。
六法は定期試験の際にも必要となるため、各自で用意してもらいたい。

●参考書

必要に応じて適宜指示する。

●注意事項

レジュメは、原則として、NUCTを利用して各自プリントアウトしてもらう。

●本授業に関する参照Webページ



●担当者からの言葉(Webページのみ表示)

法学部以外に在籍する学生諸氏にとって、「法」や「法学」は馴染みの薄い、複雑なものと思われるかもしれない。また、「法」とはいわゆる六法全書のなかに存在するもので、その中身を覚えることが「法を学ぶ」ことだと思っているかもしれない。しかし、それは大いなる誤解である。法とは日常生活のなかに存在するごく身近なものであり、「法を学ぶ」ことは決して六法全書に書かれていることを暗記することではない。法が常に紛争とともにあることは、法をめぐる考え方が常に複数存在し、対立していることを表す。法の世界に単純な唯一の正解は存在しないとも言える。

本講義が検討の対象とする日本国憲法もまたしかりである。みなさんの多くは高等学校までの学習で、日本国憲法の条文を読んだり、その内容を覚えたりしたことがあるだろう。
だが、法学としてこれを学ぶ場合には、条文そのものを覚えることは極言すればどうでもいい。それよりも、それが実際にどのような具体的制度や事件として現実に立ち現われているのか/いないのかを知り、それをめぐってどのような考え方の対立があるのかを検討しその是非について理論的に自分の考え方を示すことこそが重要になる。

ただし、それは単に自分の「主張」を述べることとは異なる。憲法学には多くの議論の蓄積があり、各国の憲法にはそれぞれの歴史・社会的背景がある。「法学的な主張」としての説得性を獲得するためには、そうした既存の議論をきちんと理解し、踏まえることが、当然求められる。

日常生活のなかで見聞きする様々な事柄について「憲法がどのように影響を与えているのか/いないのか」を理解し、その是非を他者に説得的に論じられるようになること。それが本講義の目的である。意欲のある学生諸氏の参加を望む。


時間割一覧へ戻る