●本授業の目的およびねらい
私たち人間は,文明的な社会生活を営むにあたって,紛争が起きたとき,殴り合いより話 し合いで解決する道を選んだ。その話し合いの道具の一つが,法律である。法律といって も,たくさんの種類があるが,本講義の対象とする刑事法は,何が犯罪となるのか,それ に対してどのような刑罰が科されるのか,どうやってその犯人を決めるのか,などのルー ルを定めるものであり,一言でいえば,ある人を処罰するか否かという人生の一大事を決 める道具である。本講義は,この道具の「取り扱い」について,共に考えるものである。
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●履修条件あるいは関連する科目等
刑事法に関する特段の予備知識は不要だが,刑事法を考えることへの意欲は必要である。 本講義は,刑事事件を題材とした複数の映画作品を鑑賞するが,各作品が描き出すのは, いずれも深刻な社会の現実問題である。それらと真摯に向き合う覚悟をもって受講せよ。
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●授業内容
【本講義の主題】 <罪と罰~刑事法の世界~> 本講義の基本的な進行は,刑事法の諸相について解説を行ったうえで,関連する現実的な 問題を題材とした映画作品を鑑賞し,その次の回にレポート試験を実施・提出するという 流れになる。解説と作品の内容を踏まえ,レポート試験までに各自で自由に調べたり考え たりしてもらうため,レポートのテーマは当日に公表し,他方,持込み物に制限は設けな い(ただし,通信可能な電子機器を除く)。なお,大型の六法は不要であるが,小型の六 法(たとえば,『ポケット六法[2018年版]』〔有斐閣〕など)の持参を推奨する。
【本講義の概要】 (1)イントロダクション ・刑法とは何かを学ぶ。 (2)刑事事件の裁判手続 ・捜査機関の活動,公訴の提起(起訴),第一審の裁判手続,上訴手続等を学ぶ。 ・映画教材鑑賞1 ・レポート試験1 (3)裁判員制度について ・いわゆる裁判員法の概要,裁判員の選任,裁判員の職務・負担・保護等を学ぶ。 ・映画教材鑑賞2 ・レポート試験2 (4)刑法の解釈と適用 ・罪刑法定主義,目的論的解釈,現代的課題(生命と刑法),刑の執行等を学ぶ。 ・映画教材鑑賞3 ・レポート試験3 (5)期末試験(持込み不可)
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●成績評価の方法
レポート試験3回(各20%),及び期末試験(40%)。なお,下記注意事項を見よ。 本講義では,レポートを2回以上提出しなかった者,及び期末試験を受験しなかった者を 「欠席」評価とするので,履修登録後に履修を取り止める場合に「取り下げ届」は不要。
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●教科書
特になし。
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●参考書
必要に応じて講義中に言及するが,さしあたり挙げるならば, ・井田良『基礎から学ぶ刑事法[第6版]』(有斐閣,2017年) ・三井誠=曽根威彦=瀬川晃(編)『入門刑事法[第6版]』(有斐閣,2017年) ・高橋則夫(編)『ブリッジブック刑法の考え方[第3版]』(信山社,2018年)
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●注意事項
レポート試験3回のうち1つでも提出を欠くと,単位取得は容易でないことに注意せよ。 レポート試験において,いわゆる公欠は,忌引き,伝染病罹患・入院,天災,交通機関の 事故・ストライキのいずれかの事由に当たる場合のみ,証明書類,又はその写しの提出を 条件として認め,事情解消後の提出を許可するが,得点に2分の1を乗ずる扱いとする。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
大学は「学問の府」である,といわれる。学問とは,自ら「学」び「問」うことである。 そして,自ら「問」うとは,正解を教えてもらうのを待つのではなくて,自分で調べたり 考えたり,又は他者へ向けて意見を発表し,批判を仰ぐ,という作業を指している。そも そも法律学の世界においては,正解というものが存在しない。受講者は,それにとまどう かもしれない。しかし,だからこそ自ら「学」び「問」いつづける,という営為が意義を 有するのである。本講義が,学問の面白さを感じ取る一助となれば,大変うれしく思う。
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