●本授業の目的およびねらい
国際関係の現状とそれについての議論は、専門科目の基礎としても、これからの社会を生きていくためにも重要である。本授業では、とりわけ国際社会と日本(社会)との関係について、具体的な現象とその背景を知り、さらに考えるヒントを得ることができる。 こうした学びを通じて、自分たちの生活との関係で「国際関係」を常に意識することができる。また、この社会を主体的に生きるために、関連知識をどのように身につければよいか、技術を修得することができる。さらに、「国際関係」で生起するさまざまな問題について、議論していくことができるようになる。
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●履修条件あるいは関連する科目等
特になし
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●授業内容
全体として、「法と歴史の眼からみた国際関係-日本社会との関わりを中心に」という観点から、トピックをいくつか提供し、ともに考える内容で授業を展開する。また、各回につき、NUCTシステムを用いて、レジュメを電子的に配布するほか、参考文献・資料および予習ないし復習のポイントを指示するので、レジュメは、あらかじめダウンロードし、各回の話の見通しをつけておくほか、参考文献・資料に適宜目を通しておくこと。 授業内容の展開は、次のように考えている。 1. オリエンテーション/本科目学修のために必要な準備・学術情報取得技能の基礎 2. 日本は外国人とどう向き合ってきたのか、向き合うべきか 2.1 国籍とその機能-比較のなかの日本国籍法 2.2 統計が示す日本の外国人の動態/在留資格制度と退去強制 2.3 いわゆる外国人労働者問題-2018年入管法改正 2.4 難民とは誰か-ヨーロッパ難民危機を手がかりに 2.5 日本の難民法制 2.6 「移民の自由」を考える(討論時間を確保) 3. 日韓関係をどう考えるか 3.1 現代日韓関係の歴史的前提 3.2 在日コリアンの歴史と法 3.3 いわゆる請求権処理問題 3.4 植民地支配(責任)とこれからの日韓関係(討論時間を確保) 4. 過去の戦争(の処理)と現代日本の国家と社会 4.1 日本の降伏と占領管理体制-戦後日本のstatehoodの形成 4.2 「革命」・「押しつけ」による日本国憲法の成立 4.3 東京裁判/サンフランシスコ講和と日米安保 4.4 米中の狭間の日本(討論時間を確保、この後レポート試験)
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●成績評価の方法
NUCTシステムの課題提出機能を用いたレポート試験60%。討論の際のパーフォーマンスなどを平常点40%。 学期途中で履修の意思がなくなった場合、履修取り下げ届を提出する必要がある。
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●教科書
とくに指定しない。
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●参考書
薬師寺公夫ほか編『ベーシック条約集』(東信堂、2019年版)※2019年4月刊行のため、ISBNを付すことができない。 小熊英二『決定版 日本という国』(新曜社、2018年)ISBN4788515679 その他NUCTシステムで指定する。
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●注意事項
本授業の履修は、NUCTシステムでのレジュメの配布、課題の提出などを前提とする。自前のパソコン・タブレット・スマートホン(およびインターネット環境)がない場合には、不利になることは否めないが、その場合でも、大学に備え付けのコンピュータなどで対応することを期待する。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
大学での教育が、これまでの教育と全く異なるのは、大学では教員はすべて関連領域の研究者であることです。したがって、大学教員は、現在の研究状況を踏まえて教育することになります。いいかえれば、大学での授業を聴くときに、受講生は、この担当教員は、どの分野を専攻する研究者なのか、を意識した方がよい、ということになります。 本授業の担当教員は、普段、法学部や大学院法学研究科で「国際法」の研究・教育をしています。実は、「国際関係論」というのは、それを専攻する研究者もいる、一つの確立した学問分野を指していうこともあります。しかし、この授業では、そのような一つの学問分野の知識と議論を体系的に教えることは目標とされていません。担当者の専攻にそって、「法」の眼でみると「国際関係」はどのように見えるのか、というアプローチで、さらに、普段担当者が(おそらく受講生も)実践的な関心を有している日本社会との関係で「国際関係」をどのように考えたらよいか、という問題関心で、授業を展開したいと思います。 本授業の担当教員としては、受講生の討論への参加を、大いに期待しています。受講生の数によりますが、履修登録期間後、グループを作り、グループで問題提起を準備してもらい、それを発表してもらうことを考えています。もしこれが難しければ、単に個々の学生に簡単な課題に答える文章を作成・提出してもらうことで「討論」に代えます。 「討論」するには、関連してどのような議論がこれまでなされているか、知っておく必要がありますが、知識が足りないからといって、討論への参加を尻込みすることはありません。皆さんの若い感性・直感をまずは信じて、言葉に出してください。よーく考えるのは、他の人の意見を聞いてからでも、いいのではありませんか。最初の直感と後の考えとが、違わなければ、何かが「分かった」とはいえない、と思います。 本授業を通じて、皆さんとともに、私も、どのような新しい「気づき」をするか、大いに期待しています。
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