●本授業の目的およびねらい
中学校には歴史の授業があり、高校には日本史、世界史の授業があった。本授業では、歴史学的なものの見方とはどういうものか、歴史学的な分析とはどういうものなのか、そうした新しい体験をしていただこうと思う。したがって、本授業では、歴史的な名辞を覚えることに意味を見いだしてはいないし、既に持っている歴史的な知識量を問題にしたりはしない。本授業で扱う歴史的事象は、ある意味では極めて限定的なものであり、限定的な素材を対象にしてものごとを深く剔って歴史学的に理解するということを身につけていただこうと思う。
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●履修条件あるいは関連する科目等
とくになし。ただし、高校卒業程度の漢文能力、現代国語の能力は必須。
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●授業内容
現在、日韓間には様々な懸案が山積しているが、そうしたものの一つに竹島問題がある。本授業は、その3分の2を竹島問題の分析にあて、残る3分の1を江戸時代から近代に到る日韓交流史の分析に宛てたい。本授業は、まずは歴史学の分析によって竹島問題がどのように明らかになるのかという作業を介して、歴史学の方法について体得していただこうと思う。ついで素材を竹島問題から外側に広げ、素材を限定しつつも日韓交流史研究の現状について理解を深めていただくこととする。
(1)于山島は独島と一致するか(韓国側主張の検証①) (2)17世紀に日本の竹島に対する領有権は確立したか(日本側主張の検証①) (3)元禄竹島一件①(日本と韓国の解釈はなぜ正反対なのか) (4)元禄竹島一件②(安龍福英雄論の起源) (5)空白の400年(日本政府が黙殺する論点) (6)古地図にみる竹島(日本側主張の検証②) (7)近代地図にみる竹島(海図には領土は描かれないか) (8)竹島の日本領編入と韓国側主張の検証② (9)サンフランシスコ講和条約と政府見解の応酬 (10)竹島は「わが国固有の領土である」の意味 (11)江戸時代の日韓交流史①(朝鮮通信使) (12)江戸時代の日韓交流史②(漂流民) (13)日韓相互認識史の一断面①(「鮮人」ということば) (14)日韓相互認識史の一断面②(「朝鮮通」について) (15)総括的な考察
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●成績評価の方法
出席および質疑応答を含む授業への参加(50%)、筆記試験(50%)
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●教科書
池内敏『竹島 もうひとつの日韓関係史』中公新書、2016年
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●参考書
池内敏『竹島問題とは何か』名古屋大学出版会、2012年 池内敏『日本人の朝鮮観はいかにして形成されたか』講談社、2017年
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●注意事項
とくになし。必要に応じて授業時に述べる。
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●本授業に関する参照Webページ
https://www.youtube.com/watch?v=mn5VkJyqnu8
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
固定観念からの脱却というのを目標としたい。それは、アタマを柔らかくし、思考の幅を広げることにつながってゆくと思う。
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