2018年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20180011535

●科目区分
基礎セミナー

●科目名
基礎セミナーA
●主担当教員名
前野 みち子

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅰ期
月・5
●対象学部
文系・情(自然・コン)・理・農・工(化生・マテ・電情・機航・土建)



●本授業の目的およびねらい

セミナーのテーマ:明治初期の「新聞」の成立と日本の「近代化」

幕末から明治初期にかけて、近代化をめざした日本の知識人たちは、西洋に新聞というものがあるのを知って、それを日本でも実現しようとしました。その過程を歴史的にたどりながら、「新聞」というメディアがどのようにして日本に根付いていったのか、その紆余曲折や誤解はなぜ生じたのかという問題について、西洋文化受容という観点から受講者の皆さんと一緒に考えます。

●履修条件あるいは関連する科目等

明治初期における「新聞」の成立事情に興味をもつ学生の受講を期待する。

●授業内容

日本人が西欧社会に「新聞」というものが存在することに初めて気づいたのは、長崎のオランダ人を介してである。その後、幕末にヨーロッパを視察した幕府使節団に同行した福澤諭吉は、『西洋事情』初編(1866年)で、彼が実見し体験した西洋の「新聞」の特徴を、短いが的確に紹介した。これがおそらく、日本の知識人たちに広く「新聞」のもつ近代的意義を知らせるきっかけになったと思われる。しかし、江戸時代にはすでに「かわら版」という庶民向けの報道手段があり、多くの人々にとっては、近代的な「新聞」(大新聞)と旧来の「かわら版」的新聞(小新聞)との違いはそれほど明確に理解されていなかった。本授業では、明治初期に併存したこの二種類の新聞(大新聞と小新聞)の記事を読み比べ、その報道内容や文体の違いを体験的に学ぶとともに、「近代的新聞」とは何かについて一緒に考える。明治人の書いたテキスト、とりわけ大新聞の記事の多くは漢文を訓読した「書き下し」文体で書かれているので、これを読みこなす能力をも養いたい。

1.幕末の新聞(かわら版/官板バタビヤ新聞/江湖新聞/中外新聞など)
2.福澤諭吉『西洋事情』巻之一「備考」、「新聞紙」の項目
3.福地桜痴『新聞紙実録』
4.明治初期の小新聞(読売新聞/東京絵入新聞/平仮名新聞など)
5.ジョン・レディ・ブラックと『日新真事誌』
6.明治初期の大新聞(郵便報知新聞/東京日日新聞/朝野新聞)
7.小新聞と大新聞の接近と朝日新聞の登場
8.日本人は市民的公共性を理解したか?

受講者は与えられたテーマに沿って授業期間内に最低1回の発表を行う。その後、他の参加者とそのテーマについて議論することにより、相互に理解を深める。


●成績評価の方法

授業への参加度(毎回の授業の準備、テキストの理解度、発表、他の参加者との議論など):60%
学期末レポート:40%

●教科書

必要に応じて、翌週以降の授業の資料コピーを配布する。

●参考書

必要に応じて、授業で紹介する。

●注意事項

授業への参加度を重視するので、意欲的に取り組んでほしい。

●本授業に関する参照Webページ



●担当者からの言葉(Webページのみ表示)




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