2018年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20180025430

●科目区分
理系基礎科目(理系)

●科目名
化学基礎Ⅱ
●主担当教員名
安田 耕二

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅱ期
金・4
●対象学部
医学部(医)



●本授業の目的およびねらい

物理化学は、化学反応から生命現象まで広範囲の現象を説明する、自然科学の基礎理論である。高等学校の化学基礎や化学では、理論化学の基礎を学習したが、本授業ではこれらの内容をより深く広く学習する。まず物理化学の土台として必要な熱力学と量子力学の基本を説明する。次にこれを化学現象から選んだ題材に応用し、物理化学の考え方を身につけることを目指す。化学を事実の網羅ではなく、より基本的な法則から理解する事を目指す。

●履修条件あるいは関連する科目等

次の予備知識が望ましい。物理学基礎I(力、エネルギー、仕事)、高校の物理、化学(気体の性質、反応速度、元素の性質、原子の構造など)、複素数や偏微分の基礎。

●授業内容

授業前半では熱力学を講義し、演習問題も解く。下記項目を理解し、問題が解けるようになる事を目指す。
エントロピー、自由エネルギー、化学ポテンシャル、エンタルピー、化学平衡、化学反応速度論
特にエントロピーは熱力学の基礎となる量である。参考書1にある演繹的方法でエントロピーを導入する。化学平衡や反応速度論の既知の知識を、より基本的な法則から理解する。統計力学の基本について、簡単に触れる。気体分子運動論は扱わない。

授業後半ではまず量子力学を講義し、量子力学の世界観を知り、演習問題も解く。次にそれを化学に適用し、波動関数や分子軌道を理解し、簡単な問題が解けるようになる事を目指す。また、周期表、化学結合、分子の形や反応性、電磁波の吸収、などの原子や分子の性質を、量子力学を基礎として理解する。




●成績評価の方法

試験の成績による。授業中に解いた演習問題の提出を多少加味する。履修取り下げ制度を用いる。

●教科書

特に指定しない。

●参考書

1.キャレン、熱力学(吉岡書店)の一部。2.ファインマン他、ファインマン物理学5(岩波書店)の一部。3.星野、岩松、量子力学・統計力学 入門(裳華房)の一部。4.レーモンド・チャン、生命科学系のための物理化学(東京化学同人)の一部。5.マッカーリ、一般化学(東京化学同人)の一部。他は授業で紹介する。

●注意事項

最終回の授業で総復習をする。図書館で自分に適した参考書を見つけておくと良い。授業では限られた範囲しか講義できないので、興味ある内容を参考書で自習する事を勧める。

●本授業に関する参照Webページ



●担当者からの言葉(Webページのみ表示)

化学には、事実を収集分類する博物学の側面と、少数の根本原理から事実を説明する理論の側面があります。この授業では化学の理論面を解説します。化学で主役となる分子の振る舞いは、熱力学と量子力学という物理の理論でほぼ完全に決まります。医学部医学科の皆さんには、熱力学や量子力学を詳しく学ぶ時間があまりないと思いますので、この授業ではその入り口も講義します。高校までに習った化学の理論が、どのようになぜ成立しているか、授業を通じて理解して下さい。


時間割一覧へ戻る