●本授業の目的およびねらい
電磁気学の基礎として、主に電場と磁場の法則を学ぶ。現代文明は、電磁気学によって成り立っていることは今更言うまでもないであろう。その基礎を理解することは、 現代人として大事なことだと思う。電磁気学では、力学で扱う粒子ではなく、「場」という物理概念を理解することが重要である。電磁気学だけでなく、様々な分野で「場」という概念が重要になる。電磁場を記述する数学的道具としてベクトル解析の基本を習得する。ベクトル場という概念を使うことにより、電磁気学は非常に美しい形式で記述されている。この理論体系が現実世界に具現されていることには、感動を禁じ得ない。
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●履修条件あるいは関連する科目等
力学と微分積分学を学んでおくことが望ましい。
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●授業内容
主要な項目を列挙しておくが,すべての項目を講義するとは限らない。 0.電気と磁気の発見 1.電荷・電荷の保存則 2.電荷に働く力・クーロンの法則 3.電場・場と近接作用の概念 ・重ね合わせの原理・物理量と次元解析 ・電位とポテンシャル 4.ベクトル場 ・ベクトル代数(ベクトルの和・スカラー倍・内積・外積) ・さまざまな電荷分布が作る電場 ・ベクトル解析と多重積分(線積分・面積分・体積積分) 5.電束とガウスの法則 ・保存力の法則と電位 ・導体と電流・ローレンツ力 6.静電場の基礎方程式 7.電流 ・連続の式・オームの法則 8.磁場 ・磁荷の非存在 ・ビオ‐サバールの法則・アンペールの法則 9.ベクトル解析(gradient, rotation, divergence) ・ガウスの積分定理・ストークスの定理 10.電磁場の時間変化 ・ファラデイの法則 ・変位電流・マクスウェル方程式・電磁波(電波)と光
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●成績評価の方法
宿題レポートと定期試験によって成績評価する。 履修取り下げ制度を採用する。
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●教科書
とくに指定しない。電磁気学の教科書は多数出版されている。数冊を読み比べて,自分に合ったものを見つけると良いだろう。
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●参考書
1. パーセル「バークレー物理学コース2:電磁気」(丸善)。 平易に書いてあるが内容は深い。非常に評価の高い本。 2. 長岡洋介「電磁気学1, 2」(岩波書店, 物理入門コース) 少し高度なレベルになるが、ポイントがすっきり書いてある。
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●注意事項
内容の区切りの良い所で、演習問題の宿題を出す。 自分で計算し解いて、翌週に提出すること。これも評価の対象となる。 半年の講義だけで、電磁気学をマスターすることは困難だが, 電磁気学の基本事項は習得できるような講義を提供したいと思う。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
物理学はどの分野でも自分で手を動かして計算しなければ理解できない。 基本技術として、線形代数(ベクトル、行列)と解析(偏微分、多重積分)を使う数学の計算を主に行う。それに物理的な知識が加わる。 電磁気学は、数学的にはベクトル解析という分野の適用として、理論の体系が完成された。そこでは、場の量についての微分幾何学的手法が基礎となるベクトル解析が使われる。これは、電磁気学以外でも、流体力学、力学系理論など、様々な物理分野で重要な知識である。力学(物理基礎1)に比べて、レベルが高くなることを念頭に置いておくこと。
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