●本授業の目的およびねらい
熱力学の基礎概念を学び、熱エネルギーの特殊性や、自然界で自発的に起こる現象の背景にエントロピー増大の法則があることを理解する。また、熱力学の諸法則の応用により、エンジンの熱効率、反応熱の温度依存性、融点や沸点の圧力依存性、平衡定数の温度依存性、電池の起電力、等を計算により予測できるようになることを目標とします。
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●履修条件あるいは関連する科目等
化学基礎I
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●授業内容
1.熱力学の基本用語 2.内部エネルギーと熱力学第1法則 3.エントロピーと熱力学第2法則 4.熱機関とその熱効率 5.自由エネルギー 6.化学ポテンシャルと相平衡 7.溶液の熱力学的扱い 8.化学平衡 9.電池と起電力 10.化学反応速度論
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●成績評価の方法
中間試験40%、期末試験40%、レポート20% 履修取り下げ制度を採用する。なお、中間試験、期末試験のどちらかを受験しなかった場合、評価は「欠席」とする。
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●教科書
授業時に配布するプリントに従って講義を進める。
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●参考書
理工系学生のための化学基礎 野村浩康、川泉文男 編(学術図書出版社) アトキンス物理化学要論 第3版 東京化学同人
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●注意事項
熱力学は、演習問題を実際に解いてみないと理解が進まないところがあります。 レポートとして演習問題を出しますので、必ず「自分で」解くようにして下さい。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
熱力学の成果は、数多くの数式となっています。これらの数式はとても実用的なので、数 式さえ知っていれば、エンジンの熱効率の上限、化学反応における平衡定数、電池の起電 力など数多くの数値を計算できます。そこで、これら数多くの式の暗記こそが、熱力学の 勉強方法だと考えがちになります。 しかしながら、数式の背景にある熱力学的な考え方を理解すると、例えば、「香水の香り は自然に部屋中に広がる」、「コーヒーはひとりでに冷める」、「水素と酸素は反応して 水になる」といった互いに関係のなさそうな現象の背景に共通の自然法則があることがわ かるのです。また、ガソリンエンジンより、電池+モーターのほうがどうして効率が良いかにつ いて直感的に理解できます。 そこで本講義では、熱力学の数式の使い方の練習を行うとともに、数式の背景にある熱力 学的な考え方の理解にも力を入れたいと考えています。
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