●本授業の目的およびねらい
科学技術をジェンダーの視点を通して見ると、価値中立的(ジェンダー・フリー)ではないその在り方が露わになる。ジェンダーとは生物学的な性差ではなく社会的・文化的な性差であり、科学者である女性の数が男性に比べて少ないことにはジェンダーの問題が関わっている。本授業では生命倫理における生殖技術の問題(科学技術の享受者としての女性)、科学史における女性の在り方(科学の担い手としての女性)を考察することを通して、科学技術に対してジェンダーという視座を獲得することを目的とする。ジェンダーに付随し女性科学者が直面する困難を理解し、その解消案を提示できることを目標とする。
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●履修条件あるいは関連する科目等
関連する科目は、全学教養科目の、「科学・技術の倫理」「科学技術社会論」「女と男を科学する」などです。
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●授業内容
以下の内容を講義形式で学習します。 1.フェミニズムとジェンダー:ジェンダー概念とは何か(参考文献A) 2.生殖技術におけるジェンダー問題(参考文献B) ・生殖補助技術(人工授精、体外受精、代理懐胎)の利用に伴う倫理的問題 3.科学史における女性科学者(参考文献C) 4.科学史におけるジェンダー問題(参考文献C) 5.現代社会におけるジェンダー問題 ・教育、労働におけるジェンダー問題 6.女性科学者のロールモデル(参考文献D) ・職業選択におけるロールモデルの重要性 ・研究者、技術者のワーク・ライフ・バランス 7.国内外の女性科学技術政策の動向(参考文献E) ・大学・企業における男女共同参画の現状 8.授業の総括 参考文献:全体として、小川眞理子『フェミニズムと科学/技術』(岩波書店)、ロンダ・シービンガー『ジェンダーは科学を変える!?』(工作舎)、A. 江原由美子、金井淑子編『フェミニズム』(新曜社)、加藤秀一『ジェンダー入門』(朝日新聞社)、B.江原由美子『生殖技術とジェンダー』(勁草書房)、舘かおる編『テクノ/バイオ・ポリティクス 科学・医療・技術のいま』(作品社)、C. シービンガー『科学史から消された女性たち―アカデミー下の知と創造性』(工作舎)、川島慶子『エミリー・デュ・シャトレとマリー・ラヴワジエ―18世紀フランスのジェンダーと科学』(東京大学出版会)、D. ロールモデル集『理系女性のきらめく未来第3版』(科学技術振興機構)、E. ヘルガ・リュープザーメン=ヴァイクマン『科学技術とジェンダー:EUの女性科学技術政策』(赤石書店)、辻村みよ子『ポジティヴ・アクション―「法による平等」の技法』(岩波書店)
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●成績評価の方法
・出席確認を兼ねた小テスト(40%)と定期試験(60%)によって評価を行います。 ・期末試験を受験しない者は「欠席」とします。
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●教科書
特に指定しません。授業時に資料を配布します。
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●参考書
授業内容の欄を参照してください。
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●注意事項
受講にあたって参考文献を予習することが望ましい。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
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