●本授業の目的およびねらい
本授業の学習到達目標は、大学で初めて憲法を勉強する学生諸氏が、「立憲主義」という考え方に基づいてつくられた「憲法」というルールの人類史的な意義を認識した上で、現代の日本社会において生起している諸問題を「憲法の眼」を通して考察する能力を身につけることである。「国民主権」・「基本的人権の尊重」・「恒久平和主義」を三大原理とする日本国憲法の理念と現実を学ぶにあたっては、戦後史における重要な憲法問題・憲法裁判を検討対象とし、そこで提起された諸論点について、現在の問題ともつなげて分析・考察する。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
現代の日本社会において生起している社会の諸問題に多少なりとも興味を有していること。問題意識を持って講義に主体的に参加できること。
|
●授業内容
1. 憲法とは何か:「立憲主義」の意味を考える 2. 第1期(1945年~59年) (1)憲法の制定:ポツダム宣言、GHQ占領政策 (2)平和主義:朝鮮戦争、再軍備、砂川事件、安保条約 3.第2期(1960年~79年) (1)生存権:朝日訴訟、堀木訴訟 (2)四大公害裁判:環境権、公害裁判の課題、戦前との比較 (3)表現の自由:猿払事件、公務員の政治活動の自由 (4)外国人の人権:マクリーン事件 (5)知る権利・報道の自由:外務省秘密電文事件、博多駅事件 (6)教育を受ける権利:学テ・教科書訴訟・学習指導要領 4.第3期(1980年~89年) (1)子どもの人権:体罰・校則事件・いじめ、子どもの権利条約 (2)信教の自由・政教分離: 政教分離訴訟、靖国神社公式参拝 (3)平等・差別禁止:女性差別撤廃条約・男女雇用機会均等法 5.第4期(1990年~99年) (1)選挙制度:議員定数不均衡訴訟 6.第5期(2000年~現在) (1)勤労権:個別労働紛争の増大 (2)刑事手続:冤罪事件(足利事件ほか)
|
●成績評価の方法
期末試験90%、平常点・設問用紙への回答10%
|
●教科書
小泉洋一・倉持孝司・尾方健・福岡久美子編『憲法の基本〔第2版〕』 (法律文化社、2012年)ISBN 978-4-589-03335-2 定価 本体2,600円(税別)
|
●参考書
最新の小型六法:『ポケット六法〔平成25年版〕』(有斐閣、2012年10月発行予定)または『デイリー六法2013〔平成25年版〕』(三省堂、2012年10月発行予定)
|
●注意事項
予習として、教科書の該当部分を必ず読んでくること。学習した内容について質問がある場合は、担当者のメール・アドレス(菅原真:sugawara@hum.nagoya-cu.ac.jp )まで質問事項を明記して送ること。大学・学部・学年・学籍番号・氏名を必ず明記すること。
|
●本授業に関する参照Webページ
|
●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
|