●本授業の目的およびねらい
放送の急激な発展は20世紀の世界を特徴づける現象のひとつである。放送は20世紀初頭、国民国家の確立と軌を一にして誕生し、マス(大衆)社会の成熟とともに進展した。そして21世紀、放送はマスの解体とともに、その力を弱めつつある。20世紀は放送というマスメディアが急速に伸長した時代だったが、その発展の様相は世界中で一様ではなかった。米国では放送はあくまで民間の「産業」であり、その姿は「公共放送」が存在感を示してきた日本や英国とは大きく異なっている。授業においては縦軸に放送の歴史を設定し、横軸に米、日、英の違いを置き、世界史の中で放送の歴史とこれからを考える。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
メディアの歴史、未来に興味を持つ人の参加を歓迎する。 海外の動きに関心を有する人の受講を求める。
|
●授業内容
1.国民国家と放送 20世紀初頭の国民国家体制の確立と、放送というマスメディアの誕生を関連付けて論じる 2.20世紀の各国の放送のあり方 アメリカ、日本、イギリスなどを比較しながら論じる 3~7 20世紀アメリカの放送と社会 マスメディアの「母国」アメリカにおいて、放送はどのように成立し、 社会にどんな影響を与えてきたのかを、第二次大戦まで振り返る 8.日本の放送の20世紀 世界に例のない日本の放送体制を、世界史の中で考える 9.イギリスおよびヨーロッパの放送の20世紀 BBC(イギリス放送協会)など、英国の放送を特徴づけたものを検討する 10~14 アメリカ、自由と規制の振り子 自由と規制の間で揺れ続けてきた戦後のアメリカの放送と放送行政の動きを追う 15.テレビは、放送は21世紀に生き残れるか マス(大衆)という基盤が崩壊してしまった中で、マスメディアはこれから どのようになっていくのかを考える
|
●成績評価の方法
授業で取り上げたテーマに関連した論述試験を行う。
|
●教科書
英米の文献を随時コピーして配布する。
|
●参考書
Erik Barnouw 'A Tower in Babel''The Golden Web''The Image Empire'(Oxford) 河村雅隆「ドキュメンタリーとは何か~テレビ・ディレクターの仕事~」「揺れる歴史の振り子~ヨーロッパ戦前・戦中・戦後~」(ブロンズ新社) 世界史年表、世界史地図(山川出版社)
|
●注意事項
これまでの例では、外国語の文献に対しては最初から拒否感を示す人が多い。 海外への興味と世界の歴史への関心をもっと持ってほしい。
|