●本授業の目的およびねらい
社会がうまく成り立つためには、何らかのルールや原理の存在が一定の人々の間に共有さ れていなければならない。しかし、今日、そのようなルールや原理が何であるかは、わか りづらくなっている。本講義では、1)そのような現代社会の状況そのものを概観すると ともに、2)これからの社会を支える候補となり得る、いくつかのルールや原理を説明す る。そのことによって、現代社会における「政治」のイメージと意義について、新たな理 解を獲得することが、本講義の目標である。よって、本講義は、一般的にイメージされる 「政治」(議会、政党、選挙など)だけを扱うものではない。
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●履修条件あるいは関連する科目等
特にない。 ただし、法学部生は、本講義を履修しても法学部の卒業単位にならないので、注意するこ と。
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●授業内容
1 イントロダクション(参考文献A、B) 2 これまでの仕組みでは対応できない:①家族とジェンダーのゆらぎ (文献C・第8章、D) 3 これまでの仕組みでは対応できない:②福祉国家のゆらぎ(文献D、E) 4 これまでの仕組みでは対応できない:③国民国家とナショナリズムのゆらぎ? (文献C・第7章) 5 「国家任せ」を再考する:市民社会論(文献C・第10章、F) 6 福祉国家と家族を再編する①(文献D、E) 7 福祉国家と家族を再編する②(文献D、E) 8 「労働」を相対化する:ベーシック・インカム (文献D、E) 9 統合の基礎原理を考え直す①:リベラリズムと「正義」(文献C・第5章) 10 統合の基礎原理を考え直す②:リベラル・ナショナリズムと多文化主義 (文献C・第7章) 11 統合の基礎原理を考え直す③:アーキテクチャ 12 統合の基礎原理を考え直す④:熟議民主主義(文献F、G、H) 13 統合の基礎原理を考え直す⑤:闘技民主主義(文献G、H・第3章) 14 デモクラシーのための条件とは? 15 まとめ
参考文献:A)宮台真司『14歳からの社会学』(世界文化社)、B)宇野重規『〈私〉 時代のデモクラシー』岩波新書、C)川崎修・杉田敦編『現代政治理論』有斐閣アルマ、 D)山森亮『ベーシック・インカム入門』(光文社新書)、E)宮本太郎『生活保障』岩 波新書、F)篠原一『市民の政治学』岩波新書、G)田村哲樹『熟議の理由』勁草書房、 H)田村哲樹編『語る――熟議/対話の政治学』風行社。
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●成績評価の方法
期末試験(90%)+平常点(10%)。 詳細は、初回講義で説明する。
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●教科書
教科書は使用しない。 代わりに、比較的詳細な講義レジュメ(ハンドアウト)を、毎回配布する。
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●参考書
「授業内容」の欄を参照。 その他のものは、講義中に適宜紹介する。
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●注意事項
講義中の私語は厳禁である。
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