●本授業の目的およびねらい
今日、地球人口の8割余りは開発途上国の人口である。それらの国では「開発」をどうするかが最大の国民的関心事になっている。途上国の開発を総合的に考える学問分野が国際開発学である。日本の対外経済関係が欧米から途上国に大きく比重を移そうとしている時、「開発リテラシー」(途上国の開発についての理解)をもつことは、今後の国際認識に不可欠である。
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●履修条件あるいは関連する科目等
とくになし
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●授業内容
開発には、経済開発、社会開発(教育、保健、住居、労働、貧困など)、法政開発(政府、民主化、汚職、地方分権、法の支配など)の3つの分野があるが、最初に全体像と開発援助について話した後、今年度は最も問題が山積している法政開発(ガバナンスの問題)を重点的に取り上げる。南北問題が始まって50年。なぜ一部の国が経済成長を達成し、一部の国が停滞から脱することができないのか。2000年以降、その答は政府がしっかりしていないからという方向でコンセンサスができてきた。 なぜ政府への注目がそのように遅れてきたのか。ものごとを民主的に決めていけばいいのか。民主的にといった場合、選挙による数の論理でいいのか。多民族社会との関係をどうするのか。政党はどうなっているのか。汚職はどうなっているのか。マスコミやNGO/NPO(非政府組織)はどうなっているのか。多くの途上国の写真を見せながら、講義していく。 1,2 経済開発とは何か 3,4 社会開発とは何か 5 なぜ政府の重要性への注目が遅れたのか 6 有効な国家(effective state)とは 7 経済成長を演出できない国家はだめ 8 なぜ汚職はなくならないのか。撲滅への取組みはどうなってきたのか。 9 選挙・議会・政党と民主化 10 多民族国家をどうさい配するか 11 市民社会の役割 12 開発援助のあり方
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●成績評価の方法
期末試験と出席点で決める
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●教科書
木村宏恒・近藤久洋・金丸裕志編『開発政治学入門』(勁草書房)
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●参考書
とくになし
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●注意事項
とくになし
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