●本授業の目的およびねらい
ヨーロッパのルネサンスから18世紀までの時代を中心に、さまざまなジャンルの絵
画作品の世界に親しみ、楽しむための初歩的な知識や技術を身につけることをめざす。と
くに絵に描かれた内容を理解することを重視し、代表的な主題をジャンルごとにとりあげ
て紹介する。美術について知りたいと思っている学生や,ヨーロッパの歴史や文化につい
て関心がある学生を対象としている。この授業を通じて身につけた小さな芽を育てていく
ことで、美術をいろいろ楽しめる可能性が開けていくはずである。
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●履修条件あるいは関連する科目等
関連する科目:「芸術と人間」「現代芸術論」「表象芸術論」
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●授業内容
ヨーロッパの絵画に描かれる主題を理解することで、絵画とその背景となる文化を読む力
を養うことをめざしている。美術の理解には特別な才能や能力は必要ではなく、料理など
と同じように基本を身につけることである水準に達することができると思う(もちろん天
才的な料理人もいるけれども)。この授業では、以下のようなジャンルごとにわけて、絵
画の内容を理解するために役立つ基本知識を得るという方法をとった。パワーポイントを
使って映像をたくさんお見せする。
1.はじめに:「絵を見る」ということ さまざまな《受胎告知》 画家の役割
2.神話画(1):神々の姿を見分ける 参考図書『ギリシア神話』、『ヴィーナスの片
思い』(視覚デザイン研究所)
3.神話画(2):変身の物語を読む 参考図書:オウィディウス『変身物語』(岩波文
庫)
4.宗教画(1):旧約聖書の主題 参考図書:『マリアのほほえみ』(視覚デザイン研
究所)
5.宗教画(2):新約聖書の主題 イエスの誕生から死・復活まで
6.宗教画(3):聖母マリアと「黄金伝説」
7.寓意画:絵の暗号を解読する 参考図書:『ボッティチェリ《プリマヴェーラ》』(
三元社)
8.古代史・現代史:絵に描かれた歴史
9.肖像画:理想化と写実性のあいだ 参考図書:『自画像の歴史』(東京大学出版会)
10.風景画:自然に託されたドラマ
11.風俗画:酒飲みと娼婦と農民たちの祝宴
12.静物画:物に込められた生と死
13.だまし絵 参考図書:谷川渥『だまし絵 もうひとつの美術史』(河出書房新社)
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●成績評価の方法
以下の2つの方法により評価する。@授業期間中にどのようなものでもいいので、美術の
展覧会(常設展示でも結構です)を1つ見に行くということも条件とする。展覧会チケッ
トの半券と感想を提出する。A期末テスト(ノート、配付資料の持ち込み可)。
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●教科書
なし。
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●参考書
授業の内容を振り返りたいという方は、以下を参照:三浦篤著『まなざしのレッスン1.
西洋伝統絵画』東京大学出版会 2500円.
講義で取り上げる絵の図版は、以下を参照:『世界美術大全集』(小学館)
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●注意事項
なし。
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