●本授業の目的およびねらい
セミナーのテーマ:「ことばのハタラキについて考える」
私たちは日常の中で「ことば」がどのようなハタラキをしているのかほとんど考えることなく生活している。
このハタラキについて考察を加えてみると、私たちは様々に異なるレベルで「ことば」を使用し、意味の伝達を図っていることが分かる。
この複雑怪奇な、それでいて人を魅了する内容を伝達できる「ことば」とは一体どのようなものなのか、理解に努める。
知識人として「議論」する上で必須の素養としての「ことばについての知識」を身につけることを目指す。
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●履修条件あるいは関連する科目等
履修条件は特になし。
関連する科目は、「哲学」「生と死の人間学」「ことばの不思議」「文化を読む」。
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●授業内容
ことばの意味とは何か、「富士山」と「日本一高い山」とは同じ意味なのかそうでないのか、
どうして砂糖の甘さをことばで伝えられないのか、などの問いを扱う学問分野は言語哲学と呼ばれる。
参加学生によることばの使用の体験に基づいて、それの不思議さや魅力に思いを致しながら、ことばについての「青い哲学者」となることを目指す。
予備知識は一切無用で、自らの体験と易しい(優しい?)教科書が授業を導いてくれるはずである。主なテーマは次のようなものである。
1.言語哲学とは何か
2.意味と指示
3.記述の理論
4.固有名の問題
5.意味についての検証主義
6.意味懐疑論と翻訳の不確定性
7.サピア=フォーフの仮説
8.プラグマティズム
9.私的言語
10.言語についての知識の本性
11.言語の体系的研究の可能性
参加学生全員による議論が困難なときには、小グループに分けて活発に議論してもらうことも考えている。
担当教員は、専門がインド哲学なのでインドにおける言語哲学についても紹介したい。
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●成績評価の方法
定期試験60%、平常点40%。
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●教科書
服部裕幸『言語哲学入門』勁草書房、2003年ですが、購入する必要はありません。
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●参考書
適宜、指示する。
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●注意事項
哲学の問題にいわゆる「正解」はなく、あるのは「どれだけ深く考えたか」ということである。
何の根拠も示すことなく、一言で「分かりません」という答えだけはやめよう。真摯に自由に考えることを目指すが、
ステレオタイプのイメージ(常識)に惑わされず、謙虚に「ことば」を見つめよう。
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