●本授業の目的およびねらい
自然科学は「客観的な真実」にかかわるものであり、科学技術は価値中立的である。した
がって、科学技術はジェンダーと無縁である。科学技術をこのように考える人は多い。本
講義では、科学技術とジェンダーとの関わりについて、歴史的事例を理解するとともに、
今日的課題を検討する。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
関連する科目としては、全学教養科目の「科学・技術の倫理」「科学技術史」「科学技術
社会論」。
|
●授業内容
1.科学による自然の記述とジェンダー
18世紀にリンネが確立した動物・植物の分類を例にとり、「科学的」な自然記述や主
張には時として強いジェンダーバイアスがあることを理解する。 たとえば、
Mammalia(哺乳類、文字通りは乳房類)という分類の背後には、乳母に子供を預
けずに母親が育てるべきであるという当時の母乳育児運動が大きく関わっていた。
2.科学技術の担い手とジェンダー
科学者・技術者には圧倒的に男性が多く、女性科学者はつい最近まで例外的な存在であ
った。マリー・キュリー、バーバラ・マクリントックら、女性科学者の事例を挙げて、女
性科学者が科学者共同体の中で評価されていく過程を検討する。
3.科学技術の女性政策
欧米で進められてきた科学技術の女性政策を理解するとともに、わが国の状況も検討す
る。
|
●成績評価の方法
講義の最後に随時行う即日レポート(30%)および定期試験(70%)による。
|
●教科書
指定しない。適宜プリントなどを配布する。
|
●参考書
ロンダ・シービンガー『科学史から消された女性たち』、『女性を弄ぶ博物学』、『ジェ
ンダーは科学を変える!?』(工作舎)。リュープザーメン=ヴァイクマン『科学技術と
ジェンダー』(明石書店)。
|
●注意事項
講義の予習として、サイエンスチャンネル(http://sc−smn.jst.go
.jp)「偉人たちの夢」(30分番組)を視聴する課題が出されることがある。
|