●本授業の目的およびねらい
日本中世(平安末〜戦国期)における「国家」を統一的に把握するのは、簡単なことで
はない。なぜなら、鎌倉期にあっては古代律令国家を継承する公家政権(王朝、朝廷)と
、関東武士が樹立した武家政権(幕府)が並立しており、室町期に至って幕府が京都を拠
点とすることによって、両者の併存状態はかなり解消されるものの、天皇(院)を中心と
する王朝(朝廷)は戦国期においても存在し続けているからである。このような中世の「
日本国」の存在形態について、主に鎌倉時代を中心に検討し、中世国家とはいかなるもの
かを考えたい。
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●履修条件あるいは関連する科目等
なし
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●授業内容
1.「国家」の定義について
2.鎌倉幕府の成立をどう理解するか
1 鎌倉幕府の成立過程−治承・寿永の内乱−
2 東国国家の成立と全国政権への過程
3 鎌倉幕府の権力構造−鎌倉殿と御家人、在地領主制−
4 鎌倉幕府の権力構造−守護・地頭−
3.鎌倉期の院政と親政
1 鎌倉期の朝廷の政治組織
2 分裂する王権と「治天」
3 「家門」の「安堵」
4.建武政権
5.室町期の幕府と朝廷
6.寺社から「国家」を考える
7.外交から「国家」を考える
8.税から「国家」を考える−一国平均役と年貢−
9.戦国期の「国家」
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●成績評価の方法
筆記試験と2回講義時間に行う小テストによって評価する。
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●教科書
なし
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●参考書
佐藤進一『日本の中世国家』(岩波書店)
『岩波講座日本通史』中世一〜中世三の通史
その他、講義で指摘する。
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●注意事項
高校日本史教科書程度の知識があることが望ましいが、高校時代に日本史の授業を受けて
いなくてもよい。
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