●本授業の目的およびねらい
かつてギリシアでは、人間を「死すべき者」として捉えていました。死は、生の終わり
であるとともに、生の完成でもあり、死という生の限界があるからこそ、この世での生も
いっそう尊いとも言えます。古来、人間は、死すべき者としての自分が、この世界に生ま
れてどのように生きていくべきかという問題を、真剣に考えてきました。授業では、現代
に生きるわれわれの思考に対してそうした伝統がもつ意味を探りつつ、世界、認識、魂
(自己)、神、正義などの主題のもと、学生の皆さんが授業を通して、「あっ!、そうい
う考え方もあるのか」という思いをもてるような視点を提供したいと思っています。
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●履修条件あるいは関連する科目等
履修条件は、まじめに考えることのできること、問題意識をもって授業に主体的に参加
できることです(グループディスカッションもしようと思っています)。関連する科目は
哲学、文学、教育学、現代社会の思想的課題、科学・技術の哲学、人間と環境などです。
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●授業内容
授業全体のイメージとしては、世界、認識、魂(自己)、神、正義などの主題のもとに
さまざまの論題を取り上げて論じていこうと思っています。
毎回の授業で、最後に質問、自分の考えなどを小さな紙に書いてもらいます。そこに学
籍番号、名前も書いてください。この紙は、出欠を調べるものであるとともに、皆さんと
私の対話の場の意味ももっています。次回の授業は、そこで出た質問や意見をもとにして
臨機応変に授業を進めていきます。
第1回目の授業で、「哲学」という語の由来について説明します。また、この哲学の授
業で皆さんが聞きたいと思っている主題についてアンケートをとります。もちろん、皆さ
んの希望のすべてに応えることができるわけではありませんが、少なくとも、哲学的なテ
ーマに属する希望については、できるだけ希望に添いたいと思っています。
第2回目以降の各授業では、アンケートで希望のあったテーマを参考にしつつ、授業を
進める予定です。その中で必ずや触れることになると予想していますのは、
1.この世界はどのようなものであるか
2.人間(自己)はどのような存在であるか
3.神のようなものは存在するのか、またそれは人間にとってどのような意味をもつのか
4.この世界のあり方と人間を正しく認識するとはどういうことであるのか
5.その認識を得たうえで、または得られないなかで、われわれはどう行動すべきなのか
といった主題です。
テレビのドキュメンタリービデオなども、積極的に活用し、哲学の長い伝統のなかで示
された古来の思想が現代においてもちうる意味について考えてみたいと思います。
また何回か、小グループによるディスカッションの場も作りたいと思っています。
先にも述べましたように、皆さんが、授業を通して、「あっ!、そういう考え方もある
のか」という思いを抱き、そしてそれがさらに、これからの大学での学習、またこれから
の人生について真剣に考えていくための何かヒントになれば、と思っています。
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●成績評価の方法
出席(および遅刻のないこと)と豆レポート(70%)、期末レポート(30%)です。
たとえ出席したとしても、遅刻して来た人については減点するつもりです。
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●教科書
とくにありません。資料は配布します。
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●参考書
適宜、紹介します。
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●注意事項
途中から授業に出席すると話の内容が分かりません。それゆえ、どうか遅刻のないよう
にしてください。1時間目がつらいのは確かですが、しかし人生の最終的勝利者になるの
は、明らかに、まじめにこつこつと頑張った人です。それゆえ、授業最後の質問・意見用
紙には遅刻したかどうかも書いてもらいますし、私自身が一人一人から受け取ります。
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