●本授業の目的およびねらい
英語の論文を文法にしたがって正しく読解し、著者の主張を正確に理解することを第一の
目的とする。そのほか、アカデミック・ライティングに対する認識、速読の練習、論文の
記述形式になれること、批評精神の育成、今日の思想的問題へのイントロダクションなど
も視野に入れている。受講生は、これまでの英語の学習内容を活かしつつ、論文の英語に
主体的にチャレンジしてもらいたい。
|
●履修条件あるいは関連する科目等
特になし。
|
●授業内容
James Sneadの『White Screens/Black Images:
Hollywood from the Dark Side』(1994年)を読む。
スニードはすでに故人であり、本書は彼の死後に編纂された論文集であるため、論述の対
象が多岐にわたるが、この授業では、キング・コングを論じた一章だけを取り上げること
にする。とりわけ、(1)アメリカ映画と人種(黒人)の問題について、スニードがどの
ような議論を展開しているか正確に理解することをめざす。さらに、(2)人種という概
念を検討したり、スニードの主張を批判的に検討してみるため、みんなで意見交換したり
ほかの批評家の文献と比較してみることにする。授業では、今日の文化研究の状況なども
適宜紹介していきたいと考えている。本書でスニードが扱っている問題は、局所的で限ら
れたものではなく、ある意味、普遍的で開かれたものでもあるため、スニードの議論を参
考にしながら、受講生は主体的に関心をひろげて思考を発展させてほしい。はじめは精読
をして、英文法を再確認するとともに、論文の英語に慣れることを主眼とする。毎回当番
の人に和訳(あるいは大意)とコメントを発表してもらうことを授業の基本的なスタイル
とし、一回につきどれくらい読みすすめるかは様子をみて決めることにする。ある程度ス
ニードの主張が把握できたら、みんなで意見交換をしたい。当面は訳読という古典的なス
タイルで授業をすすめていくため、事前に詳細な授業スケジュールを提示することはでき
ないが、テクストを読了するために(あるいは参考文献に眼を通すために)、タームの中
ごろからは必然的に多読・速読を強いられることになる。初回はイントロダクションで、
実質的には二回目から授業を行う。まずは皆で『キング・コング』を見る予定(ちなみに
ピーター・ジャクソン監督版『キング・コング』ではない)。
|
●成績評価の方法
期末レポート(内容把握と批判的コメント)の結果(7割)に、授業への出席と取り組み
(3割)をくわえて、総合的に評価したい。
|
●教科書
James Snead. White Screens/Black Images:
Hollywood from the Dark Side(プリント配布).
|
●参考書
初回の授業時に、詳細なハンドアウトを配布する。
|
●注意事項
辞書と文法書を参照して、予習を必ずしてくること。当番のときに無断で欠席した場合は
授業を放棄したと見なす。
|