●本授業の目的およびねらい
数学は抽象的学問だと思われている。その認識が間違っているわけではないが,「抽象」
とは,具体的なものから出発して,それを抽象するのだ,ということがともすると忘れら
れている。ここでは,解析学で用いられる,様々の概念,特に「収束」をめぐる話題につ
いて,数の近似,関数の近似という,具体的な問題を扱いながら,そこでの方法を抽象一
般化することにより,現代数学の様々な概念が生まれてきていることを見る。同時に,
いろいろ道草を食いながら,数学で「遊ぶ」ことにしよう。皆さんは今後専門で数学を
大事な「手法」として使うが,それを使いこなすための最良の方法は「遊び」である。
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●履修条件あるいは関連する科目等
高校数学と,1年で学んだ微分積分学,線形代数学の基本が身に付いていることが望まし
い。最低限そこで学んだ事項は既知と仮定する。また知的好奇心を存分に発揮すること,
数学についていろいろ考えることを求める。
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●授業内容
講義副題「数を近似する,関数を近似する」
現在次のような話題を取り扱う予定である。
I.数の近似
1.√2をどう計算するか?
小数計算/開平算/漸化式/無限連分数
2.小数計算と誤差の評価
3.漸化式(ニュートン法など)
4.連分数と最良近似
5.「収束する」とは何か?
6.積分の近似計算(オプション)
II.関数の近似
1.テイラー展開とその剰余項(級数展開)
2.多項式による近似(その1)(補間公式)
3.多項式による近似(その2)(直交多項式)
4.三角関数による近似(フーリエ級数)
5.「関数が収束する」とは何か? 「近い」とは何か?
6.パルスによる近似(ウェーブレット)(オプション)
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●成績評価の方法
・原則として講義に積極的に参加した者には単位を与える(具体的条件は初回に提示)。
・成績は主として(3回程度)提出するレポートによる。これに出席状況による評価を加
える。
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●教科書
指定しない。資料プリントを配布の予定。
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●参考書
テーマ毎に何冊かの図書を推薦する予定。
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●注意事項
・講義の内容・順序は状況に応じて変更することがある。
・授業中の私語は他の人の迷惑となるので固く禁じる。
・携帯電話は電源を切るか、マナーモードにしておくこと。
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