●本授業の目的およびねらい
健康には、身体面の健康と精神面の健康がある。後者の問題は決して小さなものではな
い。たとえば、うつ病の生涯罹患率は10%程度と言われている。精神面の問題は身体に
も現れる。特に青年期は、精神面の健康問題の方が前面にあらわれる時期である。本講義
では、青年期にあらわれる精神面の失調について、基本的理解の方法と対処法を知ると同
時に、なぜ、人間にそのような病が生じるのかを、心理学的、生理学的、さらに哲学的側
面から考察できるようになることを目標とする。
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●履修条件あるいは関連する科目等
特になし
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●授業内容
1 精神医療の概観
近代精神医学の枠組みが出来上がる前の精神医療の歴史について概観する。
2 現代精神医学の特徴
精神を扱う医学は必然的に他の医学分野とは異なった諸特徴を持つ。その点について説明
する。
3 疾病の分類
精神健康上の問題も、きちっとした分類をすることが対処の前提である。分類と治療の関
係について、全体像を述べる。
4 症例の実際
症例の豊富な参考書を参照しながら、青年期に現れることの多い、統合失調症、うつ病、
摂食障害、人格障害、ひきこもり、様々な神経症について、具体例に基づき説明する。
5 精神面の病を理解する上での方法論
精神の健康、その失調状態を理解していくためには、固有の方法論が必要である。主なも
のとして、精神病理学、脳の生理学、精神分析学の3つを取り上げ、どのようなアプロー
チをしているのか、それぞれの方法論の成果と限界について、概説する。
6 治療について
実際の診療は、大きく、薬物療法、精神療法、リハビリテーションに分かれるが、それら
にも、精神医学固有の方法、特徴がある。それについて概説する。
7 人間の条件と精神の病との関係
このような精神の失調は、人間の精神、脳の構造、人間を取り巻く社会といった、「人間
の条件」と関係してあらわれてくる。この点について試論を述べ、学生の皆さんの議論の
材料とする。
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●成績評価の方法
おもに期末試験をもとに評価をするが、授業への質問を兼ねたレポートを中間で1回提出
してもらうので、それも評価の対象とする。
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●教科書
特に指定しない。
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●参考書
西丸四方著 やさしい精神医学 南山堂
内海 健 精神科臨床とは何か 星和書店
講座生命 vol6,7 河合文化教育研究所
マンフレート シュピッツァー 脳回路網のなかの精神 新曜社
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●注意事項
上記の参考書のうち西丸のものは症例集として使用する。必要不可欠なものは配布するが
、買い求められると便利である。
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