●授業内容
<テキストの内容について>
我々の日常生活には、目覚まし時計、歯磨き粉、ジョギング、石鹸、パジャマ、ヘア・
ドライヤー、髭剃り、下着、シャツ、ネクタイ、靴、台所、冷蔵庫、朝刊、朝食、トー
スターなど、変わり映えのしない「もの」や「活動」がある。本テキストは、それらの
社会的、文化的、心理的意味の解釈を試みる。先進国の典型的な日常生活の中にみられ
る物質文化の研究だと言えるだろう。解釈に当たり利用される分析方法は、記号論、精
神分析、宗教学である。日常生活は当たり前として生活されるので、我々はその「奇妙
さ」を認識することがない。「自然と対照される文化の特徴は、あらゆる部分が意味で
満たされているということである。そして、意味そのものは、精神が経験を秩序化する
論理的・知的構造の結果なのである。」ここには、エリート文化とポピュラー文化とに
二分する審美的な文化理解とは異なる文化理解、新しい感受性がある。
テキスト全体は短いエッセーからなっており、また英文も難解ではないので、学生諸
君には読みやすいだろう。理論編と応用編の部分を教材とする。前者では、1)マー
シャル・マクルーハン『機械の花嫁:産業社会のフォークロア』、2)ロラン・バルト
『神話作用』、3)ロラン・バルト『表徴の帝国』、4)フェルナン・ブローデル『日
常性の構造』、5)H・ルフェーブル『日常生活批判』、6)ミシェル・ド・セルトー
『日常的実践のポイエティーク』を扱う。応用編で扱われる項目は、目覚まし時計など
上掲のもの。
<クラスでの学生諸君の作業>
最初のクラスでモデルを示すつもりですが、一つのセンテンスを適宜区切りながら訳し
てゆきます。語法、構文、内容理解など、どれもおろそかにせず、丹念に英文を読み解
いてゆく作業をしてもらうつもりです。
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