●本授業の目的およびねらい
セミナーのテーマ: 感覚と認識について考える
ヒトはその持っている感覚,すなわち視覚,聴覚,味覚,嗅覚,触覚と多様な感覚器官で
自身の周辺や遠方の情報を察知し対象を認識する。そのとき,各感覚器官はそれらをどの
ように感じ,また,脳はそれをどのように認識するのかを考える。同様に,カメラや各種
センサーを用いて取り込んだ情報をコンピュータで解析して認識するにはどうすればよい
かを考え,最終的には人型ロボット(単に形が似ているというだけでなく,感覚や感情,
思考などがヒトに近いロボット)は実現可能か考えてみる。
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●履修条件あるいは関連する科目等
実際にコンピュータ等を用いるのではなく,あくまで論理と思考のみで考察する。した
がって,特に条件はなく,できれば文系の人と理系の人が融合して考えることが望まし
い。
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●授業内容
1.初めに,ヒトの感覚器官についてテキスト等で少し学習する。
・特に視覚と聴覚を中心に考察する。
・それ以外の感覚についても考察を行う。
2.いくつかのグループに別れて調査,考察を行い,全体で議論する。
・視覚を用いて周辺を認識する作業を解析する。
・視覚を用いて文字を認識する作業を解析する。
・聴覚を通じて言葉を理解する作業を解析する。
・手話は文字か言葉か。
・九官鳥の発する声は音か言葉か。
・その他の感覚器官と認識について。
3.これらの考察を行った後,ヒトと同じ思考を持った機械=チューリングマシンについ
て考察する。
4.さらに,「ヒトと同レベルの人工知能は可能か。」について考えてみる。できれば,
可能だと考えるグループと可能ではないと考えるグループに別れて討論する。
5.テーマと医療との関係(以下参照)について考察する。
テーマと医療との関係:
感覚と認識は医師の検査と診断に似ている。画像診断ではX線写真などを見て(感覚),
異常陰影などがないかを調べる。もし,異常陰影があれば(認識),それが悪性のもので
あるのか良性のものであるのかを考え診断を行う(決定)。これら一連の作業を医師は無
意識のうちに行っているが,これをコンピュータで行おうという研究がある。これらはコ
ンピュータ支援診断システムあるいは自動診断システムと呼ばれているが,両者はその概
念が全く異なる。また,医師以外にも同様のモデルを考えることができるかどうか,最終
的には,これらのことも含めて討論を行う。
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●成績評価の方法
努力・意欲・積極性,理解力・発表能力・内容,討論への参加・注意力,報告書・レポー
ト(各25%)
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●教科書
使用しない。
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●参考書
セミナー中に適宜紹介する。
いくつかはこちらで準備する。
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●注意事項
自分自身の感覚を強く意識すること。書物に書いてあることは所詮人の意見である(私の
意見も含めて)。
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