●本授業の目的およびねらい
地理学の研究方法の柱にフィールドワークがある。見知らぬ土地に出かけ異なった社
会、文化の中に身をおくことによって、異文化を理解し、時には破壊する。それは日本と
いう我々の社会を見直す体験でもあり、自分自身を鍛え直す場でもある。
授業では、現地で素直に観察したことが、いままで書物や教科書を通して理解してきた
常識を次から次へと覆していくことを示して、フィールドワークの醍醐味を語ってみたい
また、ヒンズー教徒とイスラム教徒、あるいはバラモンと最下層の不可触民はいかなる
つきあいをしているのか、その共生の実態を日常生活レベルで明らかにしてみたい。
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●履修条件あるいは関連する科目等
関連科目:地理学および南アジア関係の講義一般
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●授業内容
I.フィールドからの手紙
1.モンスーン襲来,寒波到来 2.カースト社会入門
3.結婚:カースト美人論,王様の悲劇,踊り子の悲哀
4.火葬:あるバラモン女性の葬送,ガンジス流し,死を待つ館
5.食事:チャイ,カリー談義,ラマダーンの抜け道,異カースト同食
6.異文化破壊:写真と誘拐,菜食破壊 7.テリトリ−:物乞い
II.インド・バングラデシュの市場にて
1.市マップ:市内の中心周辺
2.技を持った売り手達:バングラの寅さん,床屋,篭売り,壺売り
3.聖と俗の交わるとき:バラモンと不可触民
4.ビーテルリーフの流通:トライブの竹篭作り,鉄道輸送,競り売り
5.バングラデシュの行商人:アルミ食器売り,水上生活者−女性のブレスレット売り
III.ネパール・ランタン谷の人々
1.エーデルワイスの里 2.標高1800m 3.シェルパとポ−タ−
4.ヒマラヤの神々
IV.空飛ぶ絨毯論
1.夢物語 2.願望 3.比較地域 4.比較文化
V.開発と援助
1.第3世界論:フラクタル地域論,アジアNIES 2.開発:グラムバングラ
3.援助:今世紀最大の洪水に遭遇して 4.井戸掘り:名大生奮闘記(1999)
VI.フィールドノート
1.私のフィールドノート 2.瘴癘の地を訪ねて:天と地と,三期作,豹変
3.サンディラ日記 4.若きフィールドワーカー達
5.壺作り村の花嫁たち(2004)
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●成績評価の方法
月1回計3度の小レポート(30%)
定期試験(70%)
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●教科書
溝口常俊『インド・いちば・フィールドワーク』ナカニシヤ出版、2006、¥1800
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●参考書
・佐藤郁哉『フィールドワーク 書を持って街へ出よう』新曜社
・妹尾河童『河童が覗いたインド』新潮社
・西川麦子『バングラデシュ/生存と関係のフィールドワーク』平凡社
・鹿野勝彦『シェルパ ヒマラヤ高地民族の二〇世紀』茗渓堂
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●注意事項
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