●本授業の目的およびねらい
「セミナーのテーマ:ちまたにあふれる科学情報を理解する」 世の中には専門知識がなければ正しく理解できないと思われるような科学情報があふれて いる。このセミナーではそのような情報を、専門的知識をもって理解しプレゼンテーショ ンすることによって、大学生としての学習能力を修得する。但し、このセミナーでは物理 学的、化学的な科学情報はあつかわず、生命、生物、食品、医薬品、生化学、分子生物学、バイオテクノロジーに関する情報に限る。
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●履修条件あるいは関連する科目等
選んだ題材を生化学、分子生物学的専門知識によって解説し発表するので、「生化学」「分子生物学」等の講義、理系教養科目「遺伝子の世界」「食と農の科学」「動植物の科学」「微生物の科学」「バイオテクノロジー」等を履修していることが望ましい。
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●授業内容
ちまたには、一般大衆に向けておよそ生命科学(生化学、分子生物学)の専門的知識がなければ理解できない専門用語を用いた、いかにも効果がありそうな食品、食材、健康食品、医薬品の宣伝があふれている。正しい情報でも一般の人が理解できるとは思えない情報、首をかしげたくなる疑似科学情報も目に付く。 また、新聞に取り上げられている科学情報も意外に難しい。犯罪の情報としてDNA鑑定というキーワードはよく出てくるが、実際には何をやっているのか理解されているとは思えないし、インフルエンザの簡易検査というのもわからない。残留農薬検査や、危険ドラッグ、ドーピング検査もどうやっているのか理解しているだろうか?ノーベル賞にしても田中耕一さんは何の成果でノーベル賞を受賞したのか説明できるだろうか。下村脩さんはどうやってGFPを発見してノーベル賞を受賞したのだろうか?2012年には山中伸弥さんがノーベル賞を受賞したので、「iPS細胞」の単語を聞いた人は多いかもしれないけれど、科学的に説明できる人はどのくらいいるのだろうか。挙げ句の果てに、「STAP細胞」事件は多くの人に困惑と迷惑をかけた。消費者の不安を必要以上に煽るようなBSE、遺伝子組み換え食品、食品添加物、農薬に関する情報も多い。さらには血液型性格判断とか「コラーゲンを食べてお肌スベスベ」、グルコサミン、コンドロイチンなど怪しい話、宣伝が多い。これらの題材について、学生自身が科学的に理解したことを発表し、討論する。
1.取り扱う題材については、教員側から提示するものを選んでもよいし、学生自身が選 んでもよい。 2.各自プレゼンテーションを行い、質疑応答・討論する。場合によっては次回再度プレ ゼンテーションを行うこともある。 3.必要に応じてワープロソフト、プレゼンテーションソフトの使用法の説明と実演を行うこともある。
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●成績評価の方法
題材に対する理解度、発表能力・内容、討論への参加等を総合的に判断する。発表の内容が十分でない場合は、再度発表する必要がある。そのレベルによって、成績が評価される。
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●教科書
指定しない
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●参考書
講義に使っている「生化学」、「分子生物学」、「細胞生物学」等の一般的な教科書
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●注意事項
大学は自分で勉強するところであることを自覚して取り組んでほしい。WEB・HPや宣伝、ウィキペディアに載っている情報をそのまま発表してはいけない。ウィキペディアは役に立つ情報を提示するが、ネットに掲載されている情報が全てが正しいとは限らない。自分で真偽を確かめること。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
本講義を選択するために、受験科目に「生物」を選択したことは必須ではない。しかし「生物を選択しなかったので説明できない」という言い訳は認められない。その言い訳が通るならば、学生にとって大学で新しく学ぶことはないと言ってもいい。自力で勉強すれば理解できるはずです。それが大学の教育です。書いてあることを覚えるだけでは通用しません。
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