●本授業の目的およびねらい
数学を中心とした数理科学は多くの研究者の積み重ねによって発展をしてきた。また、単にこれらの研究者の興味の対象にとどまるのみならず、時として社会にも想定外の大きな影響を及ぼしてきた。本科目は理系学生の教養講座として、数理科学の分野が他の研究分野や社会とどのような関係を持ちながら発展してきたのかを、歴史的なエピソードや具体的な応用例等を通じて紹介することで、この分野への理解を深める一助としていただきたい。
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●履修条件あるいは関連する科目等
高校までの数学。
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●授業内容
この授業のテーマは「計算と論理」である。
1930年代にTuringという論理学者が計算の厳密な定義を与え、それによって計算できない関数の存在を示した。この重大な結果が数学における証明の完全な自動化を不可能にしている。彼の考えた計算モデルはコンピュータの基礎にもなっている。
以下の内容を見て行く予定である。 1)Turing機械 Turingが提示した計算のモデル。具体的な計算への応用および計算機との関係も見る。
2)計算不可能な問題 計算ができない問題とその具体的な証明を見る。
3)他の計算モデル Turing機械と同じ時期に提案されたラムダ計算と帰納的関数という二つの異なる計算モデルを見る。それぞれの計算能力がTuring機械と同等であることが計算可能性の普遍性をいうChurch-Turing提唱の基礎となった。
4)論理学との関係 上記の結果が論理学においてどんな意味を持つのかを見る。
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●成績評価の方法
主として期末レポートを評価する。
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●教科書
特に無し
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●参考書
関連する文献は講義中に紹介する。
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●注意事項
特に無し
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●本授業に関する参照Webページ
http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~garrigue/lecture/2016_kyouyou/
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
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