●本授業の目的およびねらい
目的:「化学基礎Ⅰ」では、原子・分子の構造や化学結合をミクロな視点による 物質構造論として学びました。今度は、極めて多数の原子や分子が集合したときの マクロな状態や物質の諸性質について、熱力学的なエネルギー論の観点から 学んでいきます。 ねらい:すでに「化学基礎Ⅰ」で学んだ化学結合の知識を熱力学に組み合わせて、 相(転移)平衡、化学(反応)平衡、物理化学的諸法則への理解を深め、将来の 工学的応用に向けての礎とします。
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●履修条件あるいは関連する科目等
工学部物理工学科の学生が対象です。 「化学基礎Ⅱ」は、Ⅰ期に開講された「化学基礎Ⅰ」の学修内容を前提としています。
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●授業内容
1.熱力学の第一法則を学びます。 (状態量、第一法則、内部エネルギー、仕事、定積・定圧過程、エンタルピー、 熱容量、熱化学、反応熱、生成熱、温度依存性) いわゆるエネルギー保存の法則を考えていきます。自然現象におけるエネルギーは、 力学的エネルギーの他にも熱エネルギーや化学エネルギーなど様々な形に変化して いきますが、その総和は一定に保たれます。 2.熱力学の第二法則を学びます。 (可逆(準静)過程、断熱過程、カルノーサイクル、エントロピー、第二法則、 第三法則、自由(ギブス)エネルギー、熱力学的関係式、化学ポテンシャル) エネルギーが保存されても、それを自在に操る永久機関は現実的には不可能です。 変化の方向、すなわち、その変化が自発的かどうかを考える必要があります。 3.相平衡と相変化について学びます。 (相変化(相転移)、相律、クラウジウス-クラペイロンの式、状態図) いわゆる物質の三態を考えていきます。温度や圧力を制御すると、物質の存在状態 を気体や液体などに変換できます。このことは、私たちの生活に欠かせない石油や 半導体製品の製造と密接な関係があります。 4.化学平衡について学びます。 (化学平衡、質量作用の法則、平衡定数、温度・圧力依存性、平衡移動) 化学反応がどこまで進むのかを予測し、制御するにはどうすればよいでしょうか? 熱力学的な観点から化学平衡について考えることは、(万能ではありませんが) 多くの知見を得るのに有用です。 5.溶液の性質について学びます。 (ラウールの法則、ヘンリーの法則、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧) 物質が液体に溶解すると溶液になり、純粋な液体とは性質が変わってきます。 ここでは、溶液と純粋な液体との違いについて、幾つかの基礎的事項を学びます。
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●成績評価の方法
期末試験の結果(60%)を基にレポート・講義内小テストの成績(40%)を考慮し、 100点満点で60点以上を合格とします。期末試験の受験資格や履修取り下げ制度 については下記「注意事項」を参照して下さい。
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●教科書
「化学基礎Ⅰ」の教科書を引き続き使用します。 野村浩康、川泉文男 共編 「理工系学生のための化学基礎」(学術図書出版社)
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●参考書
アトキンスやムーア(いずれも著者名)をはじめとする物理化学の教科書が 数多く出版されています。 もちろん訳本が出ており、図書館にも置いてあります。ご参考ください。 読み応え十分であり、より深い理解が得られるでしょう。
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●注意事項
レポートの未提出(一度でも)、または講義内小テストの提出率75%未満のいずれかで 期末試験の受験資格を失います。履修取り下げ制度は採用せず、期末試験の未受験を 「欠席」とします。なお提出物の無断遅延など社会常識に反する行動は慎んで下さい。 「化学基礎Ⅰ」と共に化学の体系的理解に重要な科目です。しっかり学んで下さい。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
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