●本授業の目的およびねらい
「国際関係論」って何でしょうか? 「国際関係」について「論」ずることは、「人間関係」について「論」ずることに似ていると言えるかもしれません。人間関係と同様に複雑で多様な「国際関係」を1人の大学教員が「論」ずることには、自ずと限界があります。そこで、この授業では、「ルール」という観点に限定し、近年の国際関係において実際に生じた事件や出来事を取り上げながら、その背景にある「ルール」を手がかりとして、国際関係について考えてみたいと思います。授業を通じて、国際関係において生ずるさまざまな問題について自分自身で考える場合の1つの視点を身につけることを目標とします。
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●履修条件あるいは関連する科目等
第1回を除く毎回の授業について、それなりの課題に取り組んでもらう他、授業時間外に課題図書を読んでもらうことなどを通して、全体として、大学における2単位にふさわしい学修を行ってもらいますので、それに応じた意欲が必要になります。
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●授業内容
毎回、近年の国際関係において実際に生じた事件や出来事を取り上げ、一話完結型で授業を進めます。したがって、少なくとも一見したところ、各回の内容に相互の関連は必ずしもありません。また、国際関係について、全体として何らかの体系的な説明をするものでもありません。具体的に取り上げるテーマは第1回の授業で示しますが、同じようなやり方で授業を進めた2013年度の「国際関係論」の場合は、下のようなものでした。 言うまでもありませんが、国際関係においては、日々、新しい事件や出来事が生じていますので、必要に応じてそのような新しいテーマと差し替えます。また、具体的にどのようなテーマを取り上げるにせよ、そのような「国際」問題の背景にある「ルール」のほとんどは英語で書かれていますので、授業の資料にも英語が多く含まれることになります(授業自体は日本語で行います)。 ・国際関係における戦争と平和:ノーベル平和賞につきまとう皮肉? ・北朝鮮の核実験に対する国連の制裁はどこまで進んでいるのか? ・コソボやパレスチナが国連に加盟できないのはなぜか? ・「死刑停止」国連総会決議をどのように受け止めるべきか? ・国連に加盟しているのは「中華人民共和国」か「中華民国」か? ・北朝鮮は核不拡散条約から脱退してしまっているのか? ・北朝鮮の映画を日本のテレビ局はタダで放送してもよいのか? ・国際司法裁判所での裁判:捕鯨問題と竹島問題は何が違うのか? ・沖ノ鳥島の大陸棚が延びて「遺産」が縮小? ・国籍変更後のオリンピック出場:何が明暗を分けたのか? ・ピンクパンサーのメンバーの引渡しが「異例」だったのはなぜか? ・エクアドル大使館でアサンジを庇護することは認められるのか? ・外国人労働者の受入れに関する日本の制度が抱える問題は何か?
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●成績評価の方法
第1回の授業で説明しますが、毎回の授業に取り組む姿勢(60点を上限)と定期試験(40点満点)を総合して評価する予定です。留学等のため定期試験を受験できない学生のための特別な成績評価方法は設定しませんので、ご了承ください。
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●教科書
とくに指定しませんが、定期試験では、新書程度の課題図書を読んでいることを前提とした論述をしてもらいます。課題図書は未定ですが、2013年度は、ポール・ケネディ『世界の運命——激動の現代を読む』(中公新書、2011年)を読んでもらいました。
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●参考書
必要に応じて各回の授業用資料に示します。 なお、各回の授業用資料は、NUCTを利用して授業の2週間前には入手できるようにします。こちらで印刷したものを講義室で配付する形はとりませんので、必要であれば各自でプリントアウトするなどしてください。
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●注意事項
受講の決定のための参考情報を「担当者からの言葉」に載せますので、必ずそれを読んでから、登録するかどうか決めてください。 また、第1回(4月12日)の授業で、授業の進め方などについて詳しく説明することを予定していますので、第1回の授業に出席できない場合は、早めに連絡してください。
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●本授業に関する参照Webページ
https://ct.nagoya-u.ac.jp/portal
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
私は法学部で「国際法」(国際関係におけるルール)を担当しています。国際法を専門とする以外は「ただのおっさん」であり、大学の授業で「ただのおっさん」の話を聞いても意味がありませんから、授業の視点は国際関係における「ルール」に限定します。その点を理解した上での受講でないと、「法についての授業だとは思っていなかったので・・・」という感想(かつての授業アンケートより)をもつだけで、得るものはほとんどないと思います。例えば、「今まであまり興味をもてなかった法律に触れて、思ったよりもおもしろいな・・・と思いました。言葉の言いまわしや解釈の仕方で、いろいろ考えられて、難しいけどおもしろかったです。」というような意見(同)をもてる可能性があるかどうかを、登録前によく考えてみてください。また、「大学」の「単位」を認定することになる以上、「一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準と」する(大学設置基準21条2項)以外の標準はなく、この科目(2単位)の場合、90時間の学修が必要です。その点を理解した上での受講でないと、「単位評価がキツすぎて他と兼ねてる学生のことを少し考えてほしい。」という(おそらく)正当な根拠のない不満(かつての授業アンケートより)をもつだけで、やはり、得るものは(単位を含めて)ほとんどないと思います。参考までに、だいたい同じような方法で成績評価を行った2013年度の「国際関係論」の成績分布は次のようになりました。 S 3人 / A 22人 / B 22人 / C 10人 / F 25人 なお、全学教育は「専門分野を超えた幅広い学問的素養を養うこと」が目標なので、関連する科目が専門科目としていくつもある法学部の学生には、この科目の受講は勧めません。特に今年度は、同じ前期に、法学部の1年生配当専門科目「現代日本の外交・国際関係」を私が担当予定という事情もあります。内容的に両科目ができるだけかぶらないように留意しますので、一方の受講が他方の成績評価の上で有利になることはなく、むしろ、並行受講による混乱から、「二兎を追う者は一兎をも得ず」という結果にもなりかねません。法学部生による受講をもちろん禁止はしませんが、受講を基礎として国際法模擬裁判などに参加してみたいと考える積極性や意気込みがある学生に限定したいと思います。
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