●本授業の目的およびねらい
化学は、物質の性質・構造ならびに物質相互の変換・反応を研究する学問である。工学のどの分野に進む学生にとっても、様々な物質に対する理解を深め工学上の問題解決のための思考力・判断力を養うために、化学の理論的基礎を学ぶことが重要である。「化学基礎I」では、まず物質の性質の理解がどのような実験的および理論的な根拠の基に形成されたかについて、高校の化学と物理で学習した内容を復習しつつ学んだあと、物質を構成する原子・分子の構造ならびに化学結合の起源について、ミクロの世界の理論である量子論に基づいて理解することを目標とします。
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●履修条件あるいは関連する科目等
高校の化学と物理の知識を前提とします。「化学基礎I」は、ひきつづきII期に開講される「化学基礎II」と一対になっています。
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●授業内容
1.現代化学のあらまし 2.気体の性質、理想気体 3.気体分子運動論 4.実在気体 5.凝集力、結晶構造、第1回演習 6.液体、ガラス、液晶、高分子 7.光の粒子性、エネルギー量子 8.原子スペクトル、原子モデル 9.電子の波動性、第2回演習 10.シュレーディンガー方程式 11.原子の電子配置と元素の周期律 12.化学結合、分子軌道法 13.混成軌道、電気陰性度、第3回演習 14.分子構造の決定法 15.授業の総括と評価
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●成績評価の方法
学期末試験(60%)および演習レポート等の平常点(40%)で評価します。学期末試験の欠席者は「欠席」とします。本科目では履修取り下げ制度を採用しています。
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●教科書
「理工系学生のための化学基礎」 野村浩康、川泉文男 共編(学術図書出版社)
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●参考書
「アトキンス 物理化学要論」P. W. Atkins, J. de Paula 著、千原秀昭、稲葉章 訳(東京化学同人) 「量子力学I」朝永振一郎 著(みすず書房)
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●注意事項
毎回の授業の前に、教科書の該当箇所を事前に読んでくる予習を必ず行うこと。 2年次以降での再履修は、学部専門科目等の関係で困難です。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
この講義では、化学の基礎となる物質の性質や構造、とくに原子間の化学結合の成り立ちを、電子、原子のミクロの立場である量子論に基づいて理解することを目標とします。身の回りのどんなものでも、究極的には原子からできているわけですから、物質の性質や構造を正しく理解しようとするなら、そこに立ち返る必要があります。物理学や数学を使って化学を理解しようとする点が高校までの化学と比べると大きく異なるので、最初はとまどうところがあるかもしれませんが、大学での学習の基礎として意欲的に取り組んでほしいと思います。
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